【4月23日 AFP】世界的に有名な英国の宇宙物理学者で、2018年に死去した故スティーブン・ホーキング(Stephen Hawking)博士の遺族は22日、同博士が使用していた人工呼吸器を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療に当たっている病院に寄付したと明らかにした。

 ホーキング博士は、重度の運動ニューロン疾患と闘いながら宇宙の謎の解明に生涯をささげ、輝かしいキャリアを築いたのち、2018年に76歳で死去した。

 ホーキング博士の娘、ルーシー・ホーキング(Lucy Hawking)さんは、人工呼吸器をホーキング博士が生前治療を受けていたイングランド東部ケンブリッジ(Cambridge)にあるロイヤルパプワース病院(Royal Papworth Hospital)に寄付したと述べた。

 生涯の大半を車椅子と音声合成器を使用して生活していたホーキング博士は、国営の国民保健サービス(NHS)から複数の機器を借りていたという。

 ルーシーさんは、機器は博士の死後、NHSに返却したが、人工呼吸器はケンブリッジ大学(University of Cambridge)の学者でベストセラーとなった「ホーキング、宇宙を語る(A Brief History of Time)」の著者でもあったホーキング氏が個人的に購入したものだったと述べた。

 ホーキング博士の人工呼吸器は、ロイヤルパプワース病院の技術部門のチェックを経て、最も深刻な容体の患者に使う機器に加えられた。同病院のマイク・デービス(Mike Davies)呼吸器臨床部長は、病院の職員はこの寄付にとても感謝していると述べた。

 ロイヤルパプワース病院は、新型コロナウイルスの流行を受けて、集中治療室の収容可能人数を2倍に増やした。英国のCOVID-19による死者は、これまでの累計で1万8100人に上っている。(c)AFP