【4月22日 AFP】(写真、図解追加)国連(UN)は21日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が引き金となり、元から脆弱(ぜいじゃく)な国々で飢餓が起きる恐れがあると警告した。新型ウイルス危機によって世界中で商業活動が止まり、金融市場にも余波が及んでいる。

 世界全体で17万4000人超の死者を出している新型ウイルスは、世界の公衆衛生と経済にかつてない緊急事態をもたらしている。

 一方で各国政府はこの危機から慎重に脱する道筋を模索している。今、世界中で議論されているのは、ウイルスの感染拡大を抑止するために実施されたロックダウン(都市封鎖)をいつ、どのように緩和させるかだ。世界の多くの指導者は第二波の引き金を引いてしまうことを恐れる一方、ロックダウンによる経済的損失の拡大と社会的緊張の兆しについても懸念している。

 そうした中、世界食糧計画(WFP)はパンデミックによる経済的打撃が「人道的大惨事」を引き起こす可能性を警告。今年、深刻な飢餓に直面する人の数はほぼ倍増し、2億6500万人に達すると予測している。

 WFPのデービッド・ビーズリー(David Beasley)事務局長は安全保障理事会(Security Council)のテレビ会議で、「われわれは飢餓パンデミックの危機にひんしている」と発言。特に「紛争で傷ついている国々では女性や子どもを含む大勢の市民が、飢えの淵へと追い込まれている。飢餓は非常に現実的な懸念であり、危険な可能性だ」と述べた。

 ビーズリー氏によると最悪の場合、約30か国で飢餓が発生するという。20か国・地域(G20)の農業相らは「最も貧しく脆弱な避難民」に対し、世界規模での十分な食糧供給の確保を約束している。

 新型ウイルス流行による全経済部門凍結はすでに石油市場に大きな打撃を与えており、エネルギー需要が減り原油在庫が膨らんだことで原油価格の暴落が生じている。(c)AFP/Chris Lefkow with AFP bureaux