【4月22日 AFP】米ミズーリ州は21日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)の十分な予防策を取るのを故意に怠ったとして米連邦裁に中国指導部を提訴した。米国の州がこのような裁判を起こしたのは初めて。

 米議会ではこの件で中国を罰するよう求める声があるほか、新型コロナ危機への対応を批判されているドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、中国政府が果たした役割に焦点を当てて選挙運動を展開している。

 トランプ氏の与党・共和党が主導するミズーリ州の当局は、損害賠償と、中国が防護具の隠匿などを続けているとしてこれらの行為の差し止めを求めて提訴した。損害賠償の金額は明らかになっていない。

 ミズーリ州のエリック・シュミット(Eric Schmitt)司法長官は、「中国政府は、新型コロナウイルス感染症の危険性とその伝染性について世界にうそをつき、内部告発者を黙らせ、この病気の拡散防止策をほとんど取らなかった」と主張し、「彼らは自分たちが取った行為の責任を問われなければならない」と述べた。

 米国法は、国内の裁判所は外国国家に対する訴訟管轄権を持たないという主権免責の原則を採用しているため、この訴訟が成功する可能性はほぼない。

 ミズーリ州は、中国共産党は中国の正式な国家機関ではないとして、中国共産党を相手取って提訴した。

 訴えでは新型コロナウイルスとその拡大防止策で数百億ドルの損害が発生する恐れがあるとの推計を示し、中国共産党が「未必の故意によりミズーリ州とその住民の権利を無視した」と非難している。

 また、中国当局が武漢(Wuhan)での流行初期に、内部告発者を拘束するなど新型コロナウイルスの報道を抑圧したことや、中国が当初、人から人へ感染する証拠はないと述べていたことも訴えの中で指摘されている。(c)AFP