【4月21日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)による世界の累計死者数が現時点で16万人を超えた。しかし、COVID-19の連日の死者数については、データが不完全な場合が多い上に集計方法が国によって異なるため、慎重な解釈が必要となっている。

 死亡した場所、死因の特定、情報収集の時間的遅れなどのすべてが、集計に影響を及ぼす可能性がある。死者数の集計結果は実際よりも少ない可能性があるものの、パンデミックの進行状況の監視には必要不可欠となる。

 このようなかつてない健康危機の中での死者数の集計について仏国立人口研究所(INED)は、「統計的難題」だと表現している。

■病院と高齢者施設

 スペインや韓国では、COVID-19の検査で陽性と判定された患者の死者数を、病院で死亡しても他の場所で死亡してもすべて集計しているが、これとは違う方法を採用している国もある。例えばイランでは病院のみで集計が行われている。日本でも集計が行われているのは病院だ。

 フランスや英国は最近まで、公式統計に高齢者施設での死者数を含めていなかった。フランスでは高齢者施設での死者が相当数に上っており、国内死者数の3分の1以上を占めていることが明らかになっている。

 米国では集計方法が州によって異なり、ニューヨーク州では高齢者施設での死者を集計に加えるが、カリフォルニア州では加えていない。

■COVID-19か、他の病気か

 英国、イタリア、韓国、スペインなどの一部の国では、新型コロナウイルス検査で陽性反応が出た人をすべて公式の死者数に含めている。これには、持病による合併症で死亡した人も含まれている。一方、他の国ではより選別が厳しくなっている。

 イランは、検査で陽性が出ても、死因が別の重篤な呼吸器疾患の場合は公式の死者数から除外している。

 他方で米国では、COVID-19検査が受けられるようになる前や、検査を受けるのが困難だった時期に近親者が死亡し、その死因が肺炎と認められた遺族からのクレームが増えている。