【4月22日 CNS】中国・民航局は15日、今年の第1四半期(1~3月)の民間航空業の収支は398億2000万元(約6050億円)の赤字となり、そのうち航空会社の損失は336億2000万元(約5100億円)だったと発表した。民間航空業の輸送総量は前年同期比46.6%減の165億2000万トンキロ、旅客輸送量は延べ同53.9%減の7407万8000人だった。

 中国の国内航空会社はこの期間、70%以上のフライトが取り消しとなった。元来忙しいはずの春節(旧正月、Lunar New Year)期間中も、仕事がほとんど止まった。感染が国境を超えて拡大すると、海外市場も急激に減速。この状況で各社は生存をかけ「旅客から貨物へ」とかじを切った。中国南方航空(China Southern Airlines)、海南航空(Hainan Airlines)などは次々と旅客機の貨物専用機への改造を始めている。

■旅客から貨物への切り替えを奨励する民航局

 伝統的な旅客航空会社は、旅客輸送から貨物輸送へと方向転換を行っているが、貨物専門の老舗航空会社と比べ、どんな競争力があるのか。

 まずは政府の支援について。3月29日に行われた国務院の記者会見で、民航局は4つの措置を講じて航空貨物輸送能力を引き上げるとしている。

(1)大型空港のピーク時間帯を貨物専用機に優先的に割り当てる。中外航空貨物会社がチャーター便を増便し、使わなくなった旅客機を貨物輸送として使うよう奨励する。

(2)航空会社が能動的に国際貿易の需要を掘り当て、適時に航空貨物チャーター便を飛ばすよう奨励する。

(3)航空貨物の物流コストを引き下げ、航空物流業の発展を支援する。

(4)重要で戦略的意義のある輸送需要に対し、適時に重大輸送プロジェクトを始動させ、サプライチェーンが切れるリスクを防止するとしている。

 政府の支援を受けられる他、コスト競争力もある。旅客機を改装した貨物機の運営コストは比較的低く、価格を低く抑えることが可能だ。

■貨物輸送が争奪戦を繰り広げる主戦場に

 国家発展改革委員会の任虹(Ren Hong)一級巡視員は、中国の貨物専用機による輸送は初期的段階にあり、民間航空業界が貨物輸送を拡大することを支援すると述べた。

 感染症対策期間中、各種物資の需要は旺盛になり、輸送力が逼迫(ひっぱく)する状況となった。

 中国民航総局の統計によると、3月の貨物専用便は増加し、前年同期比28.4%増の25万3000トンを輸送した。6日から12日までの1週間で、中外航空会社の国際航空貨物便は4445便となり、感染発生前の1週平均便数1014便を大きく上回り、増加幅は338%に達している。(c)CNS/JCM/AFPBB News