【4月21日 AFP】ドイツ国内の有力自治体の首長らが20日、新型コロナウイルスの影響で中断されているブンデスリーガ1部は5月9日に再開される可能性があるものの、その場合は無観客での開催になると述べた。

 ドイツ王者バイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)が本拠地を置くバイエルン(Bavaria)州のマルクス・ゼーダー(Markus Soeder)州首相は、感染拡大を抑えるためにソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の措置を取る必要がある点を考えると、スタジアムに「観客を入れることは一切考えられない」と話した。

 しかし、同州首相は「われわれは5月9日から一連の『幽霊試合』を行うかもしれない」と独紙ビルト(Bild)にコメントし、無観客試合を意味する「ガイスターシュピーレ(Geisterspiele)」というドイツ語を用いた。

 また、ボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)が拠点を置くノルトライン・ウェストファーレン(North Rhine-Westphalia)州のアーミン・ラシェット(Armin Laschet)州首相も、「徹底的に考え抜かれた概念があることを条件に」リーグ戦は再開され得ると述べた。

 ここ数日、同国サッカーリーグ機構(DFL)が「予防策」を示していると明かしたラシェット州首相は、「われわれが『幽霊試合』に戻ることは想像できる」と続けた。

 同国サッカー連盟(DFB)のフリッツ・ケラー(Fritz Keller)会長は同日、ブンデスリーガが来月から行われ得るのは試合が無観客で開催される場合のみだと主張したが、国内中の多くのサポーターグループがリーグ戦の再開に対して激しい批判の声をあげた。

 その一つであるファンシェネン・ドイチュランド(Fanszenen Deutschlands)は、発表文の中で「たとえ幽霊試合であっても、サッカーを再開させることは妥当ではない」と記した。

 リーグ戦が再開された際に明確にされるべき他の問題としては、数日ごとに行われる選手やチームスタッフの検査がある。

 報道によれば、シーズンを完了させるためだけでも必要な検査数は2万回だといわれており、ドイツの有力な政治家で科学者でもあるカール・ラウターバッハ(Karl Lauterbach)氏も、大流行期にサッカーを再開させることは誤ったメッセージを送ることになると語った。

 ドイツ連邦議会の議員を務め、疫学の教授でもあるラウターバッハ氏は、ツイッター(Twitter)に「老人ホームの人々や教師の検査数が十分でないときに、『幽霊試合』のために何万回もの検査を行うのは間違っている」と投稿した。(c)AFP