ー再感染?

 実際、韓国や日本では、回復後の患者の検査で陽性結果が出た例がある。ただし、この結果についてはいくつかの考え方ができると科学者らはいう。

 まず再感染していた可能性はあり得なくはないが、実際に起きている証拠はほとんどない。

 より可能性が高いのは、最初のウイルスが排出されきらずに休眠・無症状状態で体内にとどまり、ヘルペスのような「慢性感染症」になることだとバルー氏は述べる。

 また新型コロナについては、ウイルスおよび抗体検査がいまだ完全ではないため、実際にはウイルスが消失していないのに検査で陰性と出る「偽陰性」の可能性もある。これについて同氏は、「その場合、数週間ほどの長期にわたって、感染力が持続する可能性がある」と警告する。

ー抗体が存在すれば、免疫がある?

 公式発表されていない中国・上海での研究では、回復した患者175人を観察したところ、症状の発現から10~15日後の抗体量に違いがあった。

「だが、抗体反応が起きることが、免疫獲得を意味するかどうかは別の問題だ」と、WHOの新興感染症対策部門を率いるマリア・バンケルコフ(Maria Van Kerkhove)氏は述べる。「免疫という文脈で、抗体反応をどう捉え得るのか。われわれが真に理解する必要がある点だ」

ー抗体によって症状が悪化する可能性は?

 仏パスツール研究所(Pasteur Institute)研究員のフレデリック・タンギー(Frederic Tangy)氏は、患者の抗体ができた後に最も深刻な症状が生じている点を挙げ、「ウイルスに対してできた抗体が、症状悪化のリスクを高める可能性はある」と指摘する。

 そして、誰の抗体がより有効なのかも現時点ではわかっていない。有効に働くのは、命を落としかけた患者の抗体なのか、軽症で済んだ患者の抗体なのか、それとも無症状の患者の抗体なのか。さらには年齢は関係するのかについても不明だ。

 これらの不確定要素を理由に、人口の大半に免疫がつけば、ウイルスは新たな「餌食」を見つけることができずに消滅するという「集団免疫」戦略の提唱に疑問を呈する専門家もいる。

 豪カーティン大学(Curtin University)のアーチー・クレメンツ(Archie Clements)教授は、「現時点において、唯一かつ真の解決方法はワクチンだけだ」とAFPの取材で述べている。(c)AFP/Amélie BOTTOLLIER-DEPOIS