【4月21日 AFP】フランスの首都パリ郊外の少なくとも5つの自治体で、警察と住民の衝突が発生した。住民側は、新型コロナウイルスの感染拡大対策で、厳格な封鎖を徹底しようとする警察官らが強硬な手段を用いていると訴えている。

 衝突のきっかけとなったのは18日朝、ビルヌーブラガレンヌ(Villeneuve-la-Garenne)での警察による検問で、バイクに乗っていた男性(30)が脚を骨折するけがをしたことだった。近くにいた人々がこれに腹を立てて、大勢が現場に集まってきたという。

 目撃者らや警察が20日に語ったところでは、ビルヌーブラガレンヌと近隣のオルネースーボワ(Aulnay-sous-Bois)で、住民が車に火を付ける、警察に向かって花火を放つなどの行為に及び、警察側はゴム弾と催涙ガスでこれに応酬したという。

 警察発表によると、集まった人々が警察を「発射物」の標的にし、騒ぎは2時間近く続いたという。

 バイクに乗っていた男性は、警察車両の開け放たれたドアに衝突し、脚の骨を折って病院に搬送され、外科手術を受けた。

 住民側は、警察車両のドアは男性に衝突させようと故意に開けられたと主張している。

 負傷した男性の家族と弁護人はAFPに対し、男性は警察に苦情を申し立てる予定だと明かした。検察当局も捜査に乗り出している。

 騒動はさらに、ビルヌーブラガレンヌと同じ県内にある少なくとも3つの自治体に広がり、警察に発射物が放たれ、ごみ箱が燃やされるなどの行為が続いたと、関係者らは話している。

 男性の負傷後、人種差別問題に取り組む人権団体「SOSラシスム(SOS Racisme)」は当局に事件の徹底的な究明を求めるとともに、警察に対しては「この封鎖状態と緊張の高まる現状」を踏まえ、自制を求めるよう呼び掛けた。

 フランスではここ数か月、年金改革に反対する抗議活動や反政府デモ「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動で、警察に対する複数の苦情が寄せられている。(c)AFP