所持金尽き、帰国便は飛ばず…ヒマラヤ登山客1000人 ネパールで立ち往生
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【4月20日 AFP】所持金は底を突き、けれど帰国するすべはない──ヒマラヤ山脈(Himalayas)をトレッキング中に新型コロナウイルス危機に見舞われた外国人登山者1000人ほどが、ネパールの首都カトマンズで立ち往生している。
欧州やロシア、中国などからの旅行者たちの冒険は、新型ウイルスの感染拡大を受けてネパール政府が3月24日に発令した封鎖措置(ロックダウン)によって突然、終わりを迎えた。登山道から救出された人々は、パンデミック(世界的な大流行)を知らされて仰天した。
「今のところは何とかなっているが、どれだけ待てば帰国便に乗れるのか分からない。家に帰るためには問題が山積みだ」と、アンナプルナ(Annapurna)地方滞在中にロックダウンに遭遇したロシア人のアレクサンデル・シス(Alexander Sys)さんは語った。
一方、ラトビア人のアレクサンドラ・テランジャカ(Aleksandra Terandjaka)さんは「時々パニック状態になって、何が起きているのかと考え込んでしまう」という。
ネパールの春は登山シーズンだ。頂上に雪を頂いた山々でのトレッキングを楽しもうと例年約15万人の登山客が訪れる。だが、先月のロックダウン発令により、隔絶された標高の高い登山道も当局によって封鎖された。1700人を超える登山客がバス停や空港まで案内され、そこからバスとチャーター機でカトマンズまで避難した。
「ジョムソン(Jomsom)からポカラ(Pokhara)へ空路で向かう予定だったが、全便が運休になった。2日間待って、その後バスでカトマンズに来た」とシスさん。先月29日発のロシア行きの便で帰国予定だったが、この便が離陸することはなかった。「それ以来ずっと飛行機を待っている」という。
外国人登山者の多くは、カトマンズ市内のタメル(Thamel)地区で足止めされている。もともと観光客の多い同地区では今も何軒かホテルやレストランが営業を続けている。
オーストラリアや一部欧州諸国、米国へは既に特別便が手配され、外国人4000人以上が帰国を果たした。ネパール観光庁は各国大使館の帰国便の手配を支援しており、身動きの取れなくなった旅行者たちの要望をくみ上げるため複数のソーシャルメディア上に「ネパールで立ち往生(Stranded in Nepal)」という名のアカウントを開設している。
しかし、婚約者と旅行中に新型コロナ危機に見舞われたテランジャカさんは、帰国の見通しが立たずにいる。「私たちの他にラトビア人はいないから、私たちだけのために飛行機は飛ばないだろう。どこか欧州行きの便に乗れたとしても、そこからラトビアへの飛行機は飛んでいない」とテランジャカさんは語った。(c)AFP