【4月19日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が続く中、フランスの中国人コミュニティーでは、同郷の人々へマスクや消毒液、手袋などが配布されている。これをめぐっては疑問の声が上がっており、一部で法律上の問題になっている。

 仏政府の感染対策に懐疑的な在仏中国大使館や中国人実業家、在仏中国人団体は、マスクなどの衛生用品が入った「COVIDキット」を同胞に配布しているが、これが一部で法に触れる問題を引き起こしている。

 配布されたマスクには、需要が極めて高く入手困難なFFP2規格のものが含まれていた。この規格に適合したマスクは危機的な供給不足の際、仏国内でウイルスと最前線で闘う医療関係者用に確保されることになっている。

 そして同国では流行発生の初期段階で、在庫分と生産分のマスクすべてを医師や看護師、介護士に配布するよう要請していた。

 だが首都パリの警察当局は今月5日、マスク約1万5000枚を所持していたとして中国人団体の関係者2人を拘束した。

 その2日後にもパリ郊外で、中国大使館提供の衛生用品セットを配っていた学生3人を逮捕。配布時に人の密集を引き起こし、感染拡大の抑制を図るフランスの厳格なソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)規制に違反していた。

 一部の衛生用品セットには、手袋や除菌シート、中国伝統薬と共に、FFP2規格のマスクが入っていた。

 在仏中国大使館は、法律違反は一切ないと主張し、在仏中国人の人権と正当な利益の保護に最善を尽くしていると述べた。(c)AFP/Shahzad ABDUL