【4月17日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の娘のイヴァンカ(Ivanka Trump)氏とその夫のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏が、ユダヤ教の行事を祝うため、新型コロナウイルス対策での都市封鎖中に国の勧告を無視する形で他州へ移動していたことが分かった。大統領府が16日、この事実を認めた。

 大統領補佐官を務めるイヴァンカ氏と、大統領上級顧問のクシュナー氏夫妻は、今月8日から16日までの「過ぎ越しの祭り(Passover)」にあわせて、首都ワシントンの自宅から、ニュージャージー州ベッドミンスター(Bedminster)にあるトランプ家が所有するゴルフリゾートの一つを訪れた。

 イヴァンカ氏は、ユダヤ人であるクシュナー氏との結婚を前に、ユダヤ教に改宗している。

 ホワイトハウス(White House)は、米主要紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が最初に伝えたこの報道について事実と認めたものの、夫妻がこの旅行で持った外部との接触は、自宅にいるのと同程度だったと釈明。

「ベッドミンスターに滞在中、イヴァンカ氏はソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を実践し、遠隔勤務を行っていた。商業目的の移動ではなかった。祭日を家族と共に内輪で過ごすことを選んだ」と明かした。

 首都には外出禁止令が出され、市民は避けられない場合を除いて外出を控えるよう求められている。

 これはホワイトハウスが出している「不要不急の外出は自粛」という勧告とも一致。これにより何百万人もの米国民が、キリスト教のイースター(Easter、復活祭)やユダヤ教の過ぎ越しの祭りといった伝統的な家族の集まりは諦め、インターネット上での交流にとどめることを余儀なくされている。

 イヴァンカ氏はこれまで、自身のソーシャルメディア上の知名度を生かし、新型ウイルス感染症の拡大抑制のため、政府の指針に従うよう国民に呼び掛けていた。

 先月末に公開した自作の動画の中でも「幸運にも家にいることができる方は、どうか、どうか家にいてください」と訴え、都市封鎖下で人々が直面する「個人としても集団としても計り知れない試練」を理解する一方で、「感染拡大の抑制においては、われわれ一人一人に役割があります。そしてソーシャル・ディスタンシングは命を救います」と話していた。(c)AFP