■宗教施設でのクラスター

 コロナ対策では韓国も称賛を受けているが、置かれた状況は台湾とは全く違う。国内でのアウトブレイクにもかかわらず、感染者数のカーブを平たん化させることに成功していることへの称賛だ。

 韓国南部の都市、大邱(Daegu)では2月、宗教施設でクラスターが発生し、ウイルスの感染が拡大した。韓国ではこれまでに1万人以上が感染、229人が命を落としている。

 しかし、1日の新規感染者が909人となったのをピークに、その後の6週間で感染者数は減少。大邱では最近、1日の新規感染者が10人未満となった。この間、韓国の他の地域ではソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の措置が強制ではなく奨励として広く取り入れられ、日常社会への影響も比較的少なかった。

 専門家らは、韓国での成功の主な要因として広範な検査の実施、さらには陽性患者の接触者追跡と隔離措置を挙げている。韓国は短期間に大規模な検査を実施し、事態の収拾につなげた。そして今では、検査キットの主要輸出国にもなった。

■成功から転落

 同様の成功は一時期、香港とシンガポールでも見られたが、ここにきて感染件数は増加傾向にある。

 2都市とも、比較的早い時期に中国からの渡航者を対象にした検査を行い、陽性患者の接触者追跡を通じて初期の感染拡大を抑えた。こうして、世界中で広がりつつある完全封鎖を回避することができていたのだ。

 だが、ここ最近は、欧州や北米での流行を受けて人々が帰国していることもあり、感染の拡大が起きている。

 これまでに香港で確認された感染者数は1017人で、死者は4人だ。シンガポールでは4427人が感染、10人が死亡している。両都市では現在、ソーシャル・ディスタンシングが強化されている。(c)AFP/Jerome TAYLOR