【4月17日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、世界の国々がロックダウン(都市封鎖)される中、危機的状況に対して政府と市民がいち早く断固とした態度で対応した台湾、韓国、香港などでは、人々の生活が比較的支障なく続けられている。

 日本でも厳格なロックダウンが敷かれることはなかったが、政府の対応の遅れに批判が集まった。緊急事態が宣言されたのは4月7日になってからだった。

 中国本土からわずか180キロに位置する人口約2300万人の台湾は、一見すると、新型コロナウイルスの「絶好の餌食」のように思われた。だが、危機が始まってから約100日、台湾で確認された感染者は395人、死者は6人で、レストランやバー、学校、大学、企業が開かれたままだ。

 副総統が伝染病学者である蔡英文(Tsai Ing-wen)総統の台湾政府は今回、感染拡大の初期段階に厳しい決断を下した。

 こうした台湾の取り組みについて、ワクチン研究に多大な投資をしているマイクロソフト(Microsoft)創業者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏はこのほど、「台湾のような国々は模範だ」「多くの国と違い(大きな)疾病負担や経済的影響などに直面することはないだろう」とFOXニュース(Fox News)の取材に対し語っている。

 まだ中国の武漢(Wuhan)が封鎖される前に、台湾は新型コロナウイルス対策本部にあたる「中央流行疫情指揮センター(Central Epidemic Command Center)」を発足させ、渡航者に対するスクリーニングを開始し、広範での検査や接触者の詳細な追跡を実施した。

 さらに、最大の貿易相手である中国からの渡航も早期に閉鎖したが、これには世界保健機関(WHO)が異議を唱えた。台湾は、中国からの圧力でWHOの会合から締め出されている状態となっている。

 米国医師会雑誌(JAMA)に最近掲載された研究論文では、中央流行疫情指揮センターによる124項目の早期措置が紹介された。論文の共著者である米スタンフォード大学(Stanford University)医学部のジェイソン・ワング(Jason Wang)教授は、台湾はこのような措置をとることで、検査とマスクの生産を増強するための時間を稼ぐことができたと強調する。

 ワング氏はAFPの取材に、「ウイルスが急速に広がっているなか、2週間というのは実に長い」と指摘している。