【4月17日 AFP】韓国総選挙に野党候補として出馬していた北朝鮮の元駐英公使が16日、当選を果たし、脱北者として初めて直接選挙で国会議員に選出された。

 2016年に韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ、Thae Yong Ho)氏は、同日早朝に当選が確認されると、涙を流しながら韓国国歌を歌った。

 太氏は、韓国のラッパー、サイ(Psy)さんの曲で有名になった首都ソウルの富裕地区、江南(Gangnam)の選挙区で、保守系最大野党「未来統合党(UFP)」の候補として出馬し、58.4%の票を獲得した。

 同氏は当選発表直後にAFPに対し「きょうは非常に歴史的な日。私にとってのみならず、南北史に残る日だ」と述べた。

 さらに、自身の当選が北朝鮮の国民とエリート層に希望を与え、「韓国の自由な民主主義の本質」を証明するだろうと語った。

■全体の結果は与党の圧勝

 今回の総選挙の結果は、左派系与党の圧勝となった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)は政治の潮目を変え、文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領を優位に導いた。

 与党「共に民主党」は、1987年の民主化以降最多となる議席数を獲得。定数300議席中、その姉妹政党と合わせて180議席を獲得し、絶対過半数を確保した。

 一方、未来統合党とその姉妹組織は合わせて103議席を獲得した。投票率は過去28年で最高の66.2%を記録した。

 映像前半は当選判明後の太氏。後半は上空から撮影した国会議事堂。15、16日撮影。(c)AFP