【4月17日 AFP】(更新、写真追加)今年の「世界報道写真(World Press Photo)」コンテストの結果が16日に発表され、スーダンで行われたデモで携帯電話のライトに照らされながら抗議の詩を暗唱する若者を撮影したフランス通信(AFP)の日本人写真記者、千葉康由(Yasuyoshi Chiba)氏(48)が大賞を受賞した。

 写真は昨年、スーダンで発生した民政移管を求める民衆蜂起で撮影された。審査員らはこの写真について、希望を象徴するものと評価。若者と芸術の力を表現しつつ、写真自体に「詩的」な質が備わっていると評した。

 千葉氏はAFPに対し、「この瞬間は、私が滞在中に遭遇した中で唯一の平穏な集団抗議で、革命を起こそうとする人々のくじかれることのない結束に心を打たれた」と説明。受賞作は「人々がこの情熱を今でも内に秘めていることを示していて、私もその一部であるように感じた。人々の強い意志がそこにあり、それは暴力によってはかき消せないのだということを目にした」と語った。

 また、アフリカで撮影をすることについて「うまくいかないことがとても多いが、逆に、それまでの苦労を帳消しにするくらい素晴らしい状況に思いがけず出会ったりすることがある」と述べ、「撮影をしているとたまに自分が歴史的な事象に対峙(たいじ)してそれを記録しているのだ、と感じることがある。それが困難な状況の場合には、伝える写真がより良い状況をもたらしてくれるようにと、ただ願いながら撮影している」と語った。

 現在、ケニアの首都ナイロビに駐在する千葉氏はさらに、一般ニュース/シングル部門でも受賞。AFPからはこのほか、香港のデモ隊を撮影したニコラ・アスフーリ(Nicolas Asfouri)氏が一般ニュース/ストーリー部門で受賞した。(c)AFP