【4月16日 Xinhua News】日本から中国に送られた古詩「青山一道同雲雨 明月何曽是両郷(青山は雲雨を同じゅうし 明月は両郷に分かれること無し)」に、中国は「春雨や身をすり寄せて一つ傘」と俳句で返す。

 中国と日本がこの間、互いに送り合った支援物資に添えられたこれらの詩句は、数えきれないほど多くの中国人と日本人を感動させてきた。この一風変わった「詩によるエール交換」は今、世界で依然として新型コロナウイルスとの厳しい闘いが続く中、人々の心をそっと癒やすエピソードになっている。

 中国遼寧省(Liaoning)大連市(Dalian)は2月9日、友好都市である日本の京都府舞鶴市が寄贈した防疫物資を受け取った。物資の入る段ボール箱に貼られていた唐代の詩人王昌齢の詩の一節「青山一道同雲雨 明月何曽是両郷」は、両市が友好都市として築いてきた38年間の友情を表していた。

 日本から支援物資を受け取って1カ月余り後、今度は大連市が日本へマスクを寄贈。マスク20万枚は3月27日、福岡県北九州市に届いた。物資の箱には近代日本の作家、夏目漱石(Soseki Natsume)の俳句「春雨や身をすり寄せて一つ傘」が添えられていた。

 大連市からの物資を受け取った北九州市もまた、今度は「相濡以沫真情義 春風十里不如你(苦しい時の助け合いで真情が通う 十里の春風もあなたには及ばない)」とオリジナルの詩句で返答した。北九州市の北橋健治市長は大連市へ宛てた感謝の手紙に「わが市がかつてない重大な感染症流行に全力で対処する中、貴市が真っ先に支援の手を差し伸べて下さいました。この心温まる友情は一生忘れられません」と記した。

 大連市はこれまでに88万点の防疫物資を日韓両国に寄贈している。物資と共に海を渡っているのは、詩句の行間に込められた深い思いやりだ。同市政府外事弁公室アジア処の景詩博(Jing Shibo)副処長は「これらの詩句の背後にあるのは感染との闘いに勝ちたいという中日の人々の共通の願いだ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News