【4月18日 CNS】70歳の魯さんは12日午前10時、酸素飽和度検査で98%の数値を安定的に維持し、ついに体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)を取り外すことができた。魯さんは新型コロナウイルス感染症の肺炎治療にECMOを使って成功した湖北省(Hubei)で最高齢の患者だ。

 魯さんの治療に当たったのは、中国・武漢市(Wuhan)の華中科技大学(Huazhong University Science&Technology)付属同済医院心血管外科の魏翔(Wei Xiang)主任のチームだ。

 魯さんは1月28日に漢口医院に入院し、気管チューブなどを用いない非侵襲的人工呼吸器の治療を受けたが、酸素飽和度が非常に低いままだった。

 魯さんが同済医院に転院し、救命治療を受けたのは3月6日夜。「呼吸の衰えがひどい、重度の酸欠、侵襲的人工呼吸器で挿管処置の必要あり」との緊急電話を受けたのが、休憩中だった湖北支援医療隊の隊員で吉林大学(Jilin University)第二医院重症医学科の主任・尹永傑(Yin Yongjie)さんだった。

 尹さんはまず、遠隔でCT画像を観察、病状を把握した。ECMOチームに連絡をしつつ、自身は医院に駆け付け、直ちにECMOなどの体外生命維持装置を用いて救命処置を行った。魯さんは呼吸が衰弱している上、高血圧症、心臓病などの基礎疾患があり、ウイルスや酸欠影響で心筋損傷を起こして心機能不全に陥り、頻拍性心房細動が起きていた。重篤な急性腎障害も併発していた。

 同医院の話によると、ECMOを使っても魯さんの病状は変化が激しく、専門家グループは薬剤の調整、超音波検査での肺の観察、腎機能障害対策の血液ろ過透析も行うなどあらゆる処置を続けた。

 そのかいあって、魯さんの症状は多少改善の方向に向かった。

 尹さんのチームが6日に武漢を去った後、治療を引き継いだのが魏主任だった。医院では多くの専門家が組織され、重症患者の治療方法を連日検討したという。「ECMOの効果にも個人差がある。ECMO使用時間が長引けば出血や感染など合併症も増加する」などの問題点も討議された。

 魯さんの場合は胃腸の出血など新たな症状も表れ、ECMO使用を続けながらの出血対策は血液凝固防止と凝固促進の二律背反の両面対策で、治療の難度が大幅にアップした。

 専門家たちは自ら看護に専念し、患者本人や家族とも頻繁に意思の疎通を図り、信頼を得たことで、患者自身も前向きに治療に取り組むようになったという。背中をたたいて自分の力でせきやたんを出す訓練などさまざまな物理療法に力を入れ、ついに患者をECMOから離脱させる基礎を整えることができた。

 魏主任は「全国の感染症まん延は基本的に阻止され、武漢という主戦場の状況も段階的に喜ばしい成果が上がっている」と語る。

 しかし、同院でも「中法院区」に入院している患者は皆「重病中の重病者」で、魏主任と同僚たちは共に全力で重症患者の救命治療の任務を闘い抜こうとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News