【4月15日 AFP】新型コロナウイルスの流行は一度きりのロックダウン(都市封鎖)では終わらず、医療崩壊を防ぐにはソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)期間が2022年まで断続的に必要になるとの予測を14日、米ハーバード大学(Harvard University)の科学者らが発表した。

 米国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がピークに達したとされ、各州は厳格なロックダウンの緩和を視野に入れ始めた。

 だが、コンピューターシミュレーションによって新型ウイルス流行の軌跡をモデル化しているハーバード大のチームは米科学誌サイエンス(Science)に発表した論文で、新型コロナウイルスは寒い時期に感染率が高くなる季節病になると予測した。

 電話取材に応じた論文の主著者、スティーブン・キスラー(Stephen Kissler)氏は、新型コロナウイルスの流行について、「米国の感染者数を救命救急診療の対応能力の限界内にとどめるためには、一度きりのソーシャル・ディスタンシングでは不十分である可能性が高いことが分かった」「他の処置がない中で必要と思われるのは、断続的にソーシャル・ディスタンシング期間を設けることだ」と語った。

 一方で休止期間を置かずにソーシャル・ディスタンシングを続けることは過剰で、マイナスに働く可能性があるという。あるモデルによると、ソーシャル・ディスタンシングの効果は強力で、過剰に行えば集団免疫がほとんどできないため、集団免疫を獲得するには断続的に実施する必要があると論文は指摘している。

 ただし研究者らはこのモデルの大きな欠点として、一度感染した人の免疫の強度と持続期間が現時点ではほとんど分かっていないことを挙げている。

■ウイルスは消え去らない

 近縁種である他のコロナウイルスから推測すれば、感染した人は免疫を獲得し、その持続期間は最長で1年前後と考えるのが現時点では最も妥当だという。また同様の風邪症状を引き起こす他のコロナウイルスに感染していれば、新型コロナウイルスに対する交叉(こうさ)免疫ができている可能性もある。

 一つだけほぼ確実なことは、ウイルスは消え去らないということだ。2002年から03年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)でそうだったように、免疫を獲得できたとしても、流行の第一波の後に新型コロナウイルスが死滅するまで、長期にわたって免疫の強度が持続する可能性は極めて低いと研究チームは指摘している。

 以前感染したことがあるかどうかを判定する抗体検査キットは市販が始まったばかりだが、免疫に関する重要な疑問に答える鍵を握っていると研究チームは期待しつつ、それでも最終兵器はワクチンだと述べている。(c)AFP/Issam AHMED