【4月15日 AFP】フランス外務省は14日、新型コロナウイルスをめぐる在仏中国大使館の数々の発信を問題視し、中国大使を呼んで正式に抗議したことを明らかにした。

 仏外務省が発表した声明の中でジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相は、「中国大使を今朝呼び出し、最近のコメントの一部について私の非難の意を明確に伝えた」と述べ、それらはフランスと中国の「2国間関係の質」とは無関係だと語った。

 在仏中国大使館はここ数週間、新型コロナウイルス危機に対する欧米諸国の対応を批判する一方、中国が新型ウイルスをおおむね封じ込めることに成功したと喧伝(けんでん)する大々的なPR活動を主導している。12日には公式サイトに、「ゆがめられた事実を正す──パリ駐在外交官の見解」と題する長文を掲載。この外交官の氏名は伏せられていたが、新型ウイルス流行に対する欧米諸国の政府の対応が遅いと厳しく批判する内容だった。

 この文章はフランスの高齢者福祉施設のスタッフをやり玉に挙げ、「夜勤を放棄し……入居者らを飢えと病気で死なせた」と評した。このコメントに対し、仏政界のあらゆる勢力が反発し、高齢者福祉施設スタッフの擁護に回った。

 欧州の一部から中国の大規模な医療支援を称賛する声がある一方、そうした貢献の目的はプロパガンダだと非難する声もある。専門家の中には、中国で最初に新型ウイルスの流行が始まった後、中国政府が速やかに情報を公開しなかったために、各国が適切に対応できなかったとの批判もある。(c)AFP