【4月15日 AFP】「またオンライン飲み会だ…アルコール依存症になりそう」「会社では、ちょっとイライラするごとにたばこを吸いに下の階に行くなんてことはできない。でも自宅で仕事をしているときは誰にもばれない!」──。

 冗談交じりの発言にせよ、心を悩ます実存的な問いかけにせよ、自宅待機者のこうした声が今、ソーシャルメディアで飛び交っている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界では数十億人がロックダウン(都市封鎖)の下で生活をしている。こうした中、自宅待機によって人々の依存症リスクは高まってしまうのだろうか。

 必ずしもそうとは限らない──。だが、多くの人が潜在的リスクに直面していると、専門家らは指摘する。

 仏南西部にあるシャラント依存症センター(Charente Addiction Centre)の所長で精神科医のフィリップ・バテル(Philippe Batel)氏によると、「心的外傷性ストレスと薬物使用との関連性は十分に確立されている」という。

 依存症に悩む女性のための仏支援団体「アディクテル(Addict'Elles)」の共同創立者で、心理学者のエルザ・タスチーニ(Elsa Taschini)氏は、「閉じ込められた状況では、スポーツや外出といったストレスに対処する方法の多くは選択肢から外れる。それでも、ストレスはたまり続ける。すると残された対処方法は薬物の使用となる」と説明する。

 しかし、パンデミック(世界的な大流行)が起きている間のストレスへの対処について世界保健機関(WHO)は、その勧告の中で「自身の感情に対処する目的で、たばこやアルコール飲料その他の薬物を使用しないこと」を挙げている。

 こうした薬物乱用を回避するための抜本的な対策を講じている国もある。南アフリカは3月27日からの全国規模のロックダウンの間に、アルコール飲料の販売を禁止している。香港でも、レストランやバーに対してアルコール飲料の提供を中止するよう呼び掛けた。