【4月14日 AFP】米ストックカーレース、NASCARカップ・シリーズ(NASCAR Cup Series)に参戦するチップ・ガナッシ・レーシング(Chip Ganassi Racing)のカイル・ラーソン(Kyle Larson)が13日、ライブ配信されていたバーチャルレースで人種差別発言をしたとして、無期限の出場停止処分を科された。

 ラーソンは12日夜に、バーチャルレースの「モンツァ・マッドネス・iレーシング(Monza Madness iRacing)」に参加した。このレースは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)でスポーツ界が中断に追い込まれている中で、ファンがドライバーとつながりを持つ機会となっている。

 ラーソンが暴言を吐く音声は、別の参加選手を捉えていたゲーム専用ライブストリーミング配信プラットフォーム「ツイッチ(Twitch)」の映像の中で拾われた。

 このレースでは、参加する選手が互いの声を聞けるようになっていたが、ラーソンは自分の声が配信されているとは思っていない様子で、「聞こえないのか? おい、(人種差別用語)」と発し、別の選手に「カイル、みんなに聞こえているよ」と返されていた。

 その翌日の13日、NASCARはコメント文を発表し、「NASCARは多様性と包括性を第一としており、カイル・ラーソンが日曜日に行われたiレーシングのイベントで使ったような言葉は容認できない」「この問題に関するわれわれの行動規定は明確であり、NASCAR界全体とファンのために包括的な環境を維持すべく、これらのガイドラインを実行する」と述べた。

 この動きに先立ち、所属チームのチップ・ガナッシはラーソンに対して無給での出場停止処分を科し、同ドライバーが使った「攻撃的で容認できない」暴言について、「極めて遺憾である」とのコメント文を発表。スポンサーの米クレジット・ワン・バンク(Credit One Bank)と同国ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)も同ドライバーとの契約を即座に打ち切った。

 NASCARには多様性を推進する養成プログラム「ドライブ・フォー・ダイバーシティー(Drive for Diversity)」があり、母親が日系米国人であるラーソン自身も、その恩恵を得てショートトラックのレースから同シリーズの最上位クラスまで上がってきた。

 27歳のラーソンは同日午前にソーシャルメディアに投稿した動画で、「とにかく謝りたい」「昨夜、自分は間違いを犯し、決して使うべきでない言葉を口にしてしまった。弁解の余地は何もない」と謝罪すると、家族や同僚、そしてアフリカ系米国人に対しても、「取り返しのつかない損害だと理解している」「自分の非を認める」とわびた。(c)AFP