【4月14日 AFP】(更新)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療現場では、女性よりも男性の方が重症化しやすい傾向が見られ、肥満も症状を悪化させる要因として浮上している。ただ、その理由についてはまだよく分かっていないのが現状だ。

「過体重や既往症のある人ではリスクが高い。これに加えて女性よりも男性の方が重い症状となるケースが多い」と英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)のデレク・ヒル(Derek Hill)教授は話す。

 英ICUの独立監査機関であるICNARCの初期の統計によると、集中治療を受けた人のうち73%が男性、73.4%が過体重だった。

 仏パリにあるピティエサルペトリエール大学病院(Pitie-Salpetriere University Hospital)の救急科専門医マテュー・シュミット(Matthieu Schmidt)医師は、全患者の「4分の3」が男性だとテレビ局の取材で語っている。

 米ニューヨーク・ブルックリン(Brooklyn)で、COVID-19を発症した患者を治療しているマウントサイナイ医療システム(Mount Sinai Health System)の形成外科医ハニ・スビタニ(Hani Sbitany)氏も米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)に対し、「集中治療室で働いているが、運び込まれる患者の80%は男性だと思う」と述べた。

■先天免疫と健康意識の差?

 では、なぜ男性の方が症状が重いのか?

 専門家の中には、男性が弱いのではなく、女性の免疫力が強いのだという主張がある。仏トゥールーズ大学病院(Toulouse University Hospital)感染症科のピエール・デロベル(Pierre Delobel)医長は、「先天免疫は女性の方が強い。特に閉経期前はそうだ」と述べる。

 また、英ウォリック大医学部(Warwick Medical School)の名誉講師で非常勤医のジェームス・ギル(James Gill)医師も、「女性の免疫系の方がより活発であり、つまり感染症からの回復力が強いのかもしれない」と話した。

 もう一つの仮説は、「単に男性の方が喫煙、飲酒、肥満などについて健康意識が低いから」というものだ。ギル医師は、おそらく前者の生物学的な要因と、後者の環境的な要因が重なっていると推測している。(c)AFP/Olivier THIBAULT