【4月13日 AFP】アンリ・マティス(Henri Matisse)の油彩画「ダンス(Dance)」はエビで再現され、レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の肖像画「白貂を抱く貴婦人(Lady with an Ermine)」には男性が扮(ふん)する──新型コロナウイルス対策の隔離生活に退屈し、あるいは落ち着かない気持ちを持て余したロシアの人々が、創意工夫を凝らした名画の再現に挑んでいる。

 有名な美術作品を自前で再現してフェイスブック(Facebook)上で公開するロシアのグループ「イゾイゾリャチア(Izoizolyatsia、芸術的な隔離生活)」の参加者は、既に40万人を突破した。

「プロジェクト参加者は、新型ウイルスよりも指数関数的に急増しています」と、グループを立ち上げたエカテリーナ・ブルドナヤチェリャディノワ(Yekaterina Brudnaya-Chelyadinova)さんは冗談を飛ばす。

 外出制限による憂鬱(ゆううつ)な気分と闘うこのプロジェクトは、3月に米J. ポール・ゲッティ美術館(J.Paul Getty Museum)が呼び掛けた所蔵名画の再現チャレンジや、インスタグラム(Instagram)で同様の名作模倣に挑戦するアカウントの後に続いたものだ。

 だが、どうやらロシアの人々は、特別な熱意を抱いて名画再現に取り組んでいるようだ。

「イゾイゾリャチア」には厳格な投稿ルールがある。写真編集ソフトの使用は一切禁止、投稿可能なのは自宅で撮影した写真のみだ。だが、参加者たちはこうした制限を守りつつ想像力を目いっぱい膨らませて、少しばかり自虐的な彩りを添えた、とても面白い作品を次々と生み出している。

 家の中にある物で作られた傑作の一つに、マティスの名画「ダンス」を再現した作品がある。輪になって踊る人々を赤い色彩で描いた同作を、ナタリア・シェフチェンコ(Natalia Shevchenko)さんは、ゆでたエビとクルミを青いポリ袋の上に並べて再現してみせた。目を見張るほど印象的なこの作品は、数千人にシェアされた。

 グループの参加者はあらゆる年齢層にわたり、ペットの参加も自由。アルブレヒト・デューラー(Albrecht Duerer)の巻き毛の自画像は、1匹のスパニエル犬で再現されている。(c)AFP/Marina LAPENKOVA