【5月5日 AFP】台湾中心部にあるキャンプ場で、女性ばかりのチームがロープを使い、7階建てのビルに匹敵する高さのセンダンの木に登っている。彼女たちは高所の恐怖と闘いながらも、自然とのつながりを再確認している。

 シルビア・スー(Sylvia Hsu)さん(26)は、欧州での木登り人気の高まりに刺激を受け、女性専用の木登り講座を開いたと語った。クラスの参加者はここ3年間で倍増。特に自然との触れ合いを求めているのは、都市在住者とその子どもたちだという。

 台湾では木登りはまだそれほど人気ではない。だが、台湾人女性として初めて国際的に認定された「アーボリスト(樹木医)」のおかげで、木登りに挑戦する女性が増えている。

 木登りをする人は、大きく二つに分けられる。木のメンテナンスをすることで生計を立てるアーボリストと、純粋に楽しみのために登る人たちだ。台湾にいる国際公認のアーボリストは29人。うち女性は、スーさんを含めて3人のみだ。

 アーボリストは木の外科医とも言える。だが、台湾のアーボリストの多くは十分な仕事を見つけるのに苦労しているという。クレーンやチェーンソーを扱う業者を雇って木を切り倒す方が、安くて早いからだという。

 しかしこの数年、木登りを要する珍しい仕事が舞い込むようになってきた。ドローンの回収だ。

 スーさんたちはここ2か月だけでドローン41台を発見・回収した。費用は1回当たり100〜160ドル(約1万〜1万7000円)で、交通費は別払いだ。

 今夏、大学を卒業したらアーボリストになるつもりだという大学生のミナ・ワン(Mina Wang)さん(22)は「木と一緒にいると、友人や仲間と一緒にいるように感じる」と笑顔で語った。「枝を整えて(木が)また幸せに成長できるようにしたい」 (c)AFP/Sean CHANG