【4月13日 Xinhua News】中国河南省(Henan)安陽市(Anyang)の辛店遺跡では、これまでの発掘調査で4000平方メートルの範囲から青銅の溶解、鋳造、研磨加工が一体となった鋳銅工房跡が複数見つかった。商(殷)代(紀元前17世紀~同11世紀)末期の大型青銅礼器や鋳銅用の型枠、原型も出土したことから、これまでに発見された商代末期の鋳銅遺構の中で最大の面積を持つことが考古学的に証明された。

 同遺構は2016年に発見された。同年の河南省の五大考古学新発見にも選ばれている。現在は安陽市文物考古研究所が18年から第2次発掘調査を実施している。

 同市文物局の孔徳銘(Kong Deming)副局長は「遺跡の総面積は約100万平方メートル。調査では商代末期の鋳銅関連遺構が全体の半分以上を占めることが分かった。陶製の型枠や芯、原型および溶鉱炉の壁の破片など約1万2千点も出土している」と説明した。

 最新の発掘調査では、遺跡の中心地区が独立した五つの鋳銅区域に分かれていることが分かった。それぞれの区域には作業、居住、祭祀(さいし)、墓地のエリアが南北方向に分布しており、五つの区域の同一エリア同士が東西の軸線に並ぶよう配置されていた。作業エリアには材料の土を採取した土坑、土器や陶器の型枠を洗う池、型枠工房、鋳銅工房、廃棄物集積場などが機能的に分布しており、青銅器鋳造の全工程が行われていたことも明らかになった。

 孔氏は「これらの発見は商代末期の青銅器鋳造技術や関連施設の建設技術と配置を研究する上で重大な意義を持つ」と説明。遺跡内で複数の墓葬から「方形器」などの青銅礼器46点が出土していることから、殷墟(いんきょ)中心地区に次いで商代末期の青銅器が出土した重要区域だと指摘した。

 孔氏はまた、同遺跡で見つかった殷墟第4期よりも若干遅い時代の墓葬の被葬者が「殷の遺民」だった可能性を指摘。墓葬の形式や副葬品の組み合わせ、青銅器の銘文などの明らかな一致性は、同遺跡が殷の遺民の拠点だったことを説明していると述べ、商王朝末期から周王朝初期の殷墟や遺民の移住状況を知る上で重要な手掛かりになると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News