【4月13日 AFP】モータースポーツ界の大選手であり、英スポーツの象徴でもあったスターリング・モス(Stirling Moss)氏が90歳で死去した。家族が12日に明かした。

 英メディアの報道によると、モス氏は2016年12月にシンガポールで肺の感染症を患い、その2年後には公の場から退くなど長く闘病していた。新型コロナウイルスとの関連は示唆されていない。夫人は英PA通信(Press Association)に対して「少しだけ長いラップでした」「夫は今、目を閉じました」と話した。

 フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)では年間2位が4回、3位が3回と総合優勝には手が届かなかったものの、才能豊かで敬愛される元ドライバーの逝去の知らせを受けて、モータースポーツ界の内外から哀悼のコメントが集まっている。

 現F1王者のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)は、自身のインスタグラム(Instagram)で「きょう、僕らはレース界のレジェンド、サー・スターリング・モスにお別れを言う」とコメントした。

「彼との会話をきっと懐かしく思うだろう。正直に言って、僕たちの友情は類がないものだった」「時代も、出自も全く異なる二人だったけど、僕らは馬が合い、レースへの愛でつながった同志だと分かった」

 サッカー元イングランド代表のギャリー・リネカー(Gary Lineker)氏もインスタグラムで「サー・スターリング・モスが人生のチェッカーフラッグを受けた。とてつもないレースを走り抜いた。見事なドライバーであり、愛すべき人物だ。安らかに」と話した。

 モス氏の時代は、一人のドライバーが複数カテゴリーのレースに参戦するのが一般的で、同氏は1948年からスタートさせた14年のキャリアで、529レースに出場して212勝を挙げた。1955年には、イタリアの公道を舞台に1000マイル(約1600キロメートル)で争うミッレミリア(Mille Miglia)をコースレコードのタイムで制した。

 F1では、リバプール(Liverpool)で行われた1955年の英国GP(British Grand Prix)で初優勝を飾り、英国人ドライバー初のF1勝者となったのを皮切りに、通算16勝を挙げた。しかし、同じ時代に年間優勝5回を飾った偉大なドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオ(Juan-Manuel Fangio)氏がいた不運もあり、年間王者には縁がなかった。(c)AFP