【4月20日 People’s Daily】新型コロナウイルスの影響から社会を正常な軌道に戻すのに、宅配産業の業務再開は重要な支えの一つとなる。4月8日に交通規制が全面解除された中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)で、宅配企業の一つ「順豊速運(SF Express)」の現状を見てみた。

 武漢市呉家山地区(Wujiashan)にある「順豊速運」の配送センターには巨大な倉庫があるが、決して荷物が山積みされることはない。

 潘韋(Pan Wei)社長は「毎日午後2時半前には必要な荷物はすべて出荷し、湖北省内ならその日のうちに届けます」と説明する。新型肺炎が拡大していた時期も、順豊速運は武漢市内の6割の宅配業務を担った。現在は急ピッチで完全回復しようとしている。

 荷物の仕分け部門では、十数か所の流れ作業のラインがあり、スタッフがすべての荷物に消毒液を噴射していた。「ネットで品物を注文する人が増え、この数日間は特に忙しくなりました」。マスク姿のスタッフの成石燕(Cheng Shiyan)さんは、荷物のバーコードをスキャンしたり荷物の重さを量ったりする仕事を担当。彼女は春節(旧正月)休暇もそこそこに職場へ戻り、最高で1日1700個の荷物を処理した。当時は医療物資が中心だったが、「最近はほとんど生活物資や日用品になりました」という。現在、呉家山配送センターは1日75万個の荷物を取り扱っている。春節のピーク時は92万個も配送した。

 順豊速運の武広営業ステーションでは、数人の若いスタッフが大ホールで在庫の荷物を点検していた。32歳の配達員、肖霖(Xiao Lin)さんは病院への荷物を届ける責任者だ。「私たちの部署は春節期間中、スタッフが6人しかいなかった。みんなが『一をもって十にあたる』精神で頑張りましたよ。今は同僚がどんどん職場に戻ってきて、40人以上になったのでプレッシャーが減りました」

 潘韋社長は「宅配業を回復するためのキーワードは『職場復帰』です」と話す。1月中に多くの労働者が春節休暇で帰省したが、その後に交通が遮断され、市民の外出や移動も強く規制された。新型肺炎が収束に向かい始めると、順豊速運は働き手を確保するため、3月19日からチャーター車で労働者を武漢市に呼び戻した。現在、武漢市街地のスタッフは5396人に増え、従来の88%まで回復した。

 中国の中央部に位置する武漢市は、市内から北へ18キロに天河国際空港、東へ7キロに鉄道拠点の漢口駅があり、さらに空港近くに経済技術開発区域がある。地理面やインフラに恵まれ、物流企業が集積している。市内では円通(Yuantong)、申通(Shentong)、蘇寧(Suning)、徳邦(Debang)などの宅配企業がそれぞれ営業を再開している。

 武漢市郵政管理局事務局の張雅雯(Zhang Yawen)主任は「武漢から全国に荷物を送ることも、武漢市民がネットショッピングで商品を取り寄せることもできるようになった」と歓迎する。武漢市内の配達スタッフは春節前後の約5000人から現在は3万人以上に増加。市内の宅配業の回復率は80%に達している。(c)People's Daily/AFPBB News