【4月11日 AFP】世界保健機関(WHO)は10日、台湾が早い段階で新型コロナウイルスの人から人への感染を警告していたにもかかわらずWHOは無視したという米国の批判の内容を否定した。

 米政府は、WHOが昨年12月、台湾の警告を無視して「政治を優先」し、パンデミック(世界的な大流行)の深刻さを隠蔽(いんぺい)しようとした中国政府に加担したと非難。9日に、「WHOは2020年1月14日に、人から人への感染を示す兆候はないと発表した。世界各国の保健当局に対し、台湾の情報が公表されなかったことを深く憂慮している」と述べた。

 スイスのジュネーブに本部を置くWHOはAFPに向けた電子メールで、米国の批判内容を否定した。

 WHOは昨年12月31日に台湾当局から電子メールを受け取り、これには「中国・武漢(Wuhan)で非定型肺炎の症例が見つかり、地元当局はこの疾患が2002年から2003年にかけて774人が死亡した『重症急性呼吸器症候群(SARS)ではない』と確信しているとの報道がある」と書かれていたが、「人から人への感染についての言及はなかった」と主張した。

 WHOは台湾当局に対し、人同士の感染の疑いについてどのように「WHOに連絡を取ったか」説明するよう求め、「われわれは、この電子メールには人から人への感染について言及されていないことだけは把握している」と強調した。台湾からの返答はないという。(c)AFP