【4月11日 AFP】新型コロナウイルスが確認されていない、北太平洋に浮かぶ熱帯の島国パラオ。パンデミック(世界的な大流行)を乗り切るのに絶好の場所に見えるかもしれないが、住民にとって現下の生活は、のどかな雰囲気とは程遠い。

 世界で新型コロナウイルスの感染者が日々増える中、人口1万8000人のこの小さな島国は、これまで感染の報告がない、数少ない場所の一つだ。この他、サモア、トルクメニスタン、北朝鮮、それに南極大陸にある各国の基地からも、感染報告はない。

 最も近い隣国からでも数百キロ離れたパラオを囲む広大な太平洋は、新型ウイルスに対する緩衝となっている。

 だが、アーティストでシングルマザーのクラミオクル・ツロップ(Klamiokl Tulop)さん(28)は、高まる不安と、ウイルスがこの島にやって来る、あるいはすでに来ているかもしれない恐怖を語った。

 ツロップさんはAFPの取材に、「買い物に行くだけで、緊張と心配の高まりが感じられる」「給料日でない週でさえ、店が混んでいる」と話した。

 パラオの最大都市コロール(Koror)のスーパーマーケットではパニック買いが起きており、除菌用ローションやマスク、アルコールが不足している。島国のパラオは輸入品に大きく依存しているため、必需品はすぐに品薄になる。

 まるで、回避できない事態を待っているかのようだ。

 ツロップさんは「私たちはウイルスに感染することはないと楽観的になりたい」と言う。「でも、(ウイルスは)パラオにもほぼ確実に来るだろう。パラオは観光業にかなり依存しているし、ほとんどの人は仕事のために渡航する必要もあるからだ」