【4月12日 CNS】新型コロナウイルス感染症を克服した舒邦偉(Shu Bangwei)さんは、退院後、自宅で料理を作ることが多くなった。自身で手を動かすことで気持ちが落ち着き、かつての日常に戻る気がするからだ。

 舒さんが当時入院していた病院の医師や患者たちは、SNSでグループを作り、今も活発に連絡を取り合っている。ふさぎ込んでいる人、日常を楽しむ人、ケアを求めている人らさまざまで、みんなが大なり小なり問題を抱えながらも、かつての日々を取り戻そうとしているという。味わった共通の体験が、皆を互いに理解し合い、助け合い、温め合う気持ちにさせていると舒さんは感じている。

 退院して2か月がたつ熊友富さん(仮名、63)は、めったに階下に行かない。ほとんど家で読書をしたり静養したりで過ごしている。熊さんは公園を散歩したり、親友と集まったりした日々を懐かしく思い出す。そして最後は「人に迷惑をかけてはいけない」という考えが湧いて、そういうことをしたいという気持ちを打ち消している。熊さんは、階下に行った時、偶然知り合いに出会っても、遠くから手を振ってあいさつするだけで済ませているという。

 程勁松(Cheng Jingsong)さん一家の場合、ウイルス感染は「劇的な悪夢の経験」だった。都市封鎖されると聞いた1月23日、食材を買いに外出したが、なんと25日から発熱し3日間続いた。その2日後には妻が発熱、2月初めには娘2人も発熱した。入院治療や医学観察の末、一家は今月5日にようやく全員が家に戻ることができた。

 程さんは「あの日の朝、市場に野菜を買いに行った時に感染したに違いない。自分の不注意でウイルスを家に持ち帰った」と悔やむことしきりだ。妻や娘たちに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。一方、娘の程雨晨(Cheng Yuchen)さんは「私たちは運が良かったと思います。少なくとも家族全員、無事に帰ることができました。今回の経験で成長できたような気がします」と語っている。

 湖北省(Hubei)心理カウンセラー協会の肖勁松(Xiao Jinsong)会長は「感染流行後、一部の人は家族に対して気がとがめるような心理になっているが、家族がお互いに気を使って本人のそのような気持ちを取り除くことができる。例えば、本人が職場復帰して収入が家計の足しになるなど、生活の中の『ちょっとした温かさや光』、皆のために何かできるということが、本人の後悔の思いを緩和する手助けにもなる」とアドバイスする。

 肖会長は「一部の患者には『恐怖を思い出すトラウマ(心的外傷)』の心理がある。まず家庭で体の鍛錬を行うのが良い。その上で必要に応じ心理カウンセリングを受けるようにする。武漢の封鎖は終わっても、人の心理的な『封鎖線』の解放にはまだ時間を要する」と話す。(c)CNS/JCM/AFPBB News