【4月8日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)が、新型コロナウイルスによる肺炎に苦しむ人を助ける新たな呼吸器を開発し、その設計を公開した。

 今回、メルセデスとロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)が共同で設計したのは、CPAPと呼ばれる装置の新型で、UCLベンチュラと名付けられている。

 CPAP装置は、圧力のかかった空気を送り込んで継続的に気道を確保し、通常の酸素マスクだけでは十分ではない肺炎患者の呼吸を楽にする。英国の病院に不足しているため、UCLとメルセデスのエンジンメーカーであるメルセデスAMG・ハイパフォーマンス・パワートレイン(HPP)の技術者が、多くのメーカーが素早く生産できるようリバースエンジニアリングで設計した。

 現在はUCLの大学病院(UCLH)をはじめとする系列病院で臨床試験を行っている。すでに英政府から最大1万台の注文が届いているため、HPPの技術センターで1日最大1000台のペースで生産する予定となっている。

 HPPのアンディ・コーウェル(Andy Cowell)マネジング・ディレクターは「今回のプロジェクトが発表されて以降、CPAP装置について世界中から信じられない数の問い合わせが届いている」と話した。

「設計と製造の仕様を広く公開することで、各国の企業が素早く、大規模に生産できるから、世界中で新型ウイルスへの対応もしやすくなるだろう」

 UCLHで救命救急のコンサルタントを務めるマービン・シンガー(Mervyn Singer)教授も、「今週に入って、UCLベンチュラが多くの新型肺炎の患者さんの呼吸を楽にするところを確認している」と話した。

「人工呼吸器という貴重な機器を、本当に症状が深刻な患者さんにのみ使えるようになるから、救える命も増えるだろう」「CPAP治療を行う患者さんの大部分が、人工呼吸器を使わなくても大丈夫になることが分かっている」 (c)AFP