【4月8日 AFP】イングランドサッカー協会(FA)のグレッグ・クラーク(Greg Clarke)会長が7日、関係者が「痛みを共有する」意識を持たない限り、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に伴う経済的な損失によって、国内のクラブやリーグが破綻する可能性があると危機感を示した。

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 イングランドでは現在、新型ウイルスの影響でプレミアリーグ以下4部までのプロレベルのリーグが無期限中断中だが、クラーク会長は、急激な収入の落ち込みは下のリーグのクラブになるほど致命傷になりかねないと話している。

 プレミアリーグとフットボールリーグ(EFL)、プロサッカー選手協会(PFA)は、選手への報酬の支払いの一部繰り延べと、給与の3割減について話し合っているが、まだ合意には至っておらず、資金を節約するため選手以外の職員の一時帰休制度を利用するクラブも増えている。

 FAも5日、イングランド代表のギャレス・サウスゲイト(Gareth Southgate)監督をはじめとする特に報酬が高額なスタッフの給与30パーセント削減と、その他の幹部の15パーセント削減を発表している。

 それでも会長は、全員が一致団結しなければ、こうした方策だけでは十分とは言えず、経営基盤の弱いクラブを守るのは難しいと考えている。

 クラーク会長はFA理事会で、「サッカー界は、運営者の想像を絶する経済的な課題に直面している」と話した。

「今回のパンデミックには経済的な影響が伴い、あらゆるビジネスが苦しむことになる」「われわれにも、経営破綻によるクラブやリーグ消滅の危険がある。多くの地域が町の中心であるクラブを失う可能性があり、消滅すれば復活できる見込みはほとんどない」

「こうした未曽有の苦境を前にして、サッカーが生き延びるには、選手やファン、クラブ、オーナー、管理者らサッカーに関わるすべての人が協力し、痛みを共有しなくてはならない」

 クラーク会長が破滅のシナリオについて警告したのに併せて、プレミアリーグの選手に対しては団体協約をまとめるよう求める重圧が高まっており、PFAのトップも「役割を担うことに応じた」と発表している。

 会長の発言の数時間後には、プレミアリーグのリチャード・マスターズ(Richard Masters)最高経営責任者(CEO)が、新型ウイルスによるプレミアの損失は「少なくとも10億ポンド(約1340億円)」に上る可能性があると認めている。(c)AFP