【4月8日 AFP】米国のマーク・エスパー(Mark Esper)国防長官は、同国海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト(USS Theodore Roosevelt)」の艦内で発生した新型コロナウイルス感染の対応をめぐり、トーマス・モドリー(Thomas Modly)米海軍長官代行が7日引責辞任したことを明らかにした。

 この5日前にモドリー氏は、同空母の艦長だったブレット・クロージャー(Brett Crozier)大佐を解任している。クロージャー大佐は国防総省上層部に書簡を送り、艦内でウイルス感染が拡大した深刻な状況を訴え支援を求めたが、この内容がメディアに漏えいした。

 海軍で人望の厚かったクロージャー氏をモドリー氏が解任したことについては、罰として重すぎる上、調査開始前に早々に下された決断だとして非難の声が上がっていた。

 これに対しモドリー氏は6日、怒りを表明。首都ワシントンから同空母が着港したグアム(Guam)に飛んで乗組員らに対する演説を強行し、自らの決断を擁護した。その中でモドリー氏は、クロージャー氏の行為は「裏切り」だと非難。「考えが甘すぎるか、頭が悪すぎる」とクロージャー氏を罵倒した上、同氏に対する乗組員らの敬愛の念は誤っていると批判した。

 この敬意を欠いた演説について数時間後、ワシントンに戻ったモドリー氏は謝罪したが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領はクロージャー氏解任の正当性に公に疑問を呈し、直接介入する意向を表明した。

 エスパー国防長官は陸軍次官を務めるジム・マクファーソン(Jim McPherson)氏を、モドリー海軍長官代行の後任に任命すると発表した。(c)AFP