■「魔法」の葉

 何軒か先の露店では、薬効があるとされているユーカリやクスノキの仲間ラビンサラの乾燥葉を売っていた。

 28歳の店主は「フェイスブック(Facebook)で、こういう植物の効き目を説明している投稿を見た。それで、投資のしどころだと思った」という。

 彼は最新のスマートフォンの説明をするかのように気軽に「魔法」の葉を調合するレシピを説明しだした。「水を沸騰させ、葉を5枚入れる」「そしてその蒸気を部屋に拡散させる。お茶みたいに飲んでもいい」。それでコロナウイルス感染症が治るわけではないが、殺菌剤として予防に使えるのだと述べた。

 ラジョエリナ大統領自らコロナウイルスに対する「免疫を増強する」方法として、代替療法を奨励している。今週テレビ放送された演説の一つで同氏は、「患者にラビンサラのエッセンシャルオイルを吸入させ、高カロリー食を与えるといい…薬と一緒にだ」と語った。

 しかし、世界保健機関(WHO)はこうした代替療法に対し、大きく警鐘を鳴らしている。WHOのマダガスカル支部代表、シャーロット・ファティ・ンジャエ(Charlotte Faty Ndiaye)氏は「新型コロナウイルスはインフルエンザではない。昔ながらの治療法は疑いの目で見るべきだ」と語る。「マダガスカルの薬用植物に効果があることを示す科学的研究はこれまでない」

 これに対しラボロナさんは「この大流行にはまだ何の治療法もないのだから、マダガスカル人が失うものは何もない」と切り返す。「最悪でも無駄遣い、うまくいけばウイルスに対する免疫ができる」 (c)AFP/Tsiresena MANJAKAHERY