【4月8日 Xinhua News】シンガポールにある中国系移民団体、華源会の王成泉(Wang Chengquan)会長は2カ月前、華源会からの寄付として中国の医療従事者に感染防止用の物資を寄付していた。当時、同氏は自分たちが中国から支援を受ける日がくるとは予想もしていなかった。

 中国からシンガポールに渡った移民のNPO組織である華源会は先日、中国南東部にある福建省の廈門市(アモイ、Xiamen)から医療用マスク1万枚を受け取った。それはちょうどシンガポールで新型コロナウイルスの感染者が1000人を超えた時期だった。政府は、生活に必要なサービス以外の事業所を一時閉鎖するとともに、小学校から大学までの学校を向こう1カ月休校にし、自宅学習に切り替えることを発表した。

「とてもありがたい。いわば雪の日に石炭をいただいたようなものだ」と、王氏はメッセージアプリ、微信(ウィーチャット、WeChat)に投稿した。

 王氏に提供されたマスクは、廈門市海外聯誼会、廈門市人民政府僑務弁公室、廈門市帰国華僑聯合会の3団体が連携して確保した。郵送先の住所が書かれた包み紙には、観光名所として名高く、海外に住む多くの華僑にとって生まれ故郷でもある廈門市の美しい景色が印刷されていた。

 医療マスクを寄付した廈門市の他にも、北京や中国東部の江蘇省(Jiangsu)などが、免疫を高める効能があるとされる漢方のお茶やその他マスクを華源会へ送っている。

 また、数日前には、在シンガポール中国大使館の参事官で総領事の邱元興(Qiu Yuanxing)氏が華源会を訪問した際にマスクを提供していた。同氏は、新型コロナウイルスの感染者がシンガポールで最初に確認された1月23日以来の職場や生活環境について華源会の会員から事情を聴き、中国大使館からのあいさつを伝えた。

 中国で新型コロナがまん延した今年初めの1月末、中国の医療従事者が感染から身を守るための物資の不足に悩まされていることを報道で知った王氏と華源会の会員は、中国に寄付金を送り、シンガポールやロシア、韓国からアラブ首長国連邦に至るまであらゆる流通チャンネルを試して物資を確保しようとした。

 中国へのフライトのキャンセルが相次ぐ中、王氏らは急いで必要な書類を作成し、輸送手段を確保。最終的に4万枚のマスクと4万組の医療用手袋、ゴーグルや保護服を、福建省(Fujian)の厦門市や泉州市(Quanzhou)、章州市(Zhangzhou)をはじめとする中国各地に送り届けた。(c)Xinhua News/AFPBB News