【4月9日 CNS】中国・四川省(Sichuan)涼山イ族自治州(Liangshan Yi Autonomous Prefecture)の西昌市(Xichang)経久郷(Jingjiu)で3月30日午後、山火事が発生した。この消火活動に当たった寧南県(Ningnan)森林草原専門消火隊が遭難し、火に巻かれた19人が死亡した。調査チームが現在、事故の経緯などを調べている。

 消火隊は何貴銀(He Guiyin)隊長と20人の隊員、これに同県森林草原局の張明華(Zhang Minghua)主任の21人編成。31日未明に火災現場へ向かって登っていたところ、急に風向きが変わり、隊員18人と道案内人1人が火に巻かれて死亡、3人が負傷した。

 当時現地にいて現場の事情に詳しい陳元さん(仮名)の話では、同隊は最前線で消火に当たり、現地の大営(Daying)農場民兵隊が残り火の処理をするという分担になっていた。現場到着には目測では1時間ほどかかりそうで、風はあったが強くはなかったという。

 隊が山に登って1時間近く経った時、山の下にいた人が突然、「撤退しろ!」「危ない!」という民兵の叫び声を聞き、民兵たちが山を下ってきたという。民兵の一人は「山を登り始めてしばらくすると風が急に強くなり、火の勢いがどんどん増してきた」と話し、民兵隊が山を下りてすぐに山全体が燃え始めた。

 四川省林業調査規画院の劉波(Liu Bo)副総工程師は1日、「昨年の下期から現在まで、西昌では一般的に午前10時から風が吹き始め、それから夜間までずっと続く。強い疾風だ。また火災現場では、温度の上昇で気流の突然変化が起きる可能性も大きい」と説明した。

 消火前線指揮部の劉光宇(Liu Guangyu)指揮長は5日、「指揮部は風向、山の地勢、火災の状況などを考慮して消火の区画割りを行い、寧南隊にも消火区画を割り当てた。個人の判断で勝手に決めることはなく、専門家にも意見を聞く」と説明している。

 一方で、劉指揮長は2日、「消火は隊を率いる人の現場の観察と判断を尊重し、明け方に集中的に行い、全員で明確に役割分担をする。炎が出ている所の消火は夜明け前が一般的で、午前4時から10時半までが消火作業のピーク時間になる」とも発言している。

 国と省レベルで編成された調査チームは「寧南隊はなぜ深夜の午前0時前後に山に登り始めたのか」「誰が指令を発したのか」「現場に向かうタイミングは適切だったのか」などについて調べている。(c)CNS-澎湃新聞/JCM/AFPBB News