【4月7日 Xinhua News】中国の人工呼吸器メーカー各社は、救命用の人工呼吸器を24時間態勢で製造している。新型コロナウイルスによる肺炎がもたらした世界的な需要急騰に対応するためだ。

 調査会社グローバルデータ社は、新型肺炎のまん延に伴い、世界中で約88万台の人工呼吸器が必要とされていると予測。米国では呼吸器が7万5000台、欧州の仏、独、伊、スペイン、英では合計7万4000台が不足している。

 中国工業・情報化部(工信部)産業政策法規司の許科敏(Xu Kemin)司長によると、中国には21社の侵襲的人工呼吸器メーカーがあり、うち8社はCEマークを得て欧州連合(EU)の安全基準を満たしているという。

 許氏はこのほど「中国のメーカーは海外から約2万台の発注を受けている。急騰する需要に応えられるよう、全力で稼働している」と述べた。

フル稼働

 広東省(Guangdong)深圳市(Shenzhen)にある医療機器製造会社、深圳邁瑞生物医療電子では、本社の社員も工場で現場の作業員として働いており、人工呼吸器のねじ締めやラベル貼り、部品の組み立てを行っている。

 同社の光明製造センターで働く従業員の数は、かつての2000人から3800人にまで増加し、作業の自動化も同時に進めている。製造部門の景軍剛(Jing Jungang)部長は「現在は、これまでの3倍の速度で製造を行う態勢を整えており、毎月3000台を製造できるようにした。6月までにはさらに製造能力を上げ、毎月4000台を製造できるように努めていく」と話している。

厳格な品質管理

 工信部によると、同部は生産能力を向上させるためにさらなる策を講じると同時に、製造会社に対して品質管理を徹底し、製品の安全性を高めるように促した。

 中国の大手人工呼吸器メーカー江蘇魚躍医療設備は1日、同社子会社で製造する特定の呼吸器が米国の緊急使用許可(EUA)を得たと発表した。

 同社の袁振(Yuan Zhen)副部長は「われわれは新型肺炎が発生してから、中国国内の市場に7000台の非侵襲的人工呼吸器を提供してきた。最近は世界中の58カ国から医療機器の発注を受けており、人工呼吸器の需要は2万台を超えた」と話した。

「人工呼吸器の製造は厳密な品質管理が求められている」と付け加えた袁氏は、同社の調査や開発は、医療現場での需要に基づいて行われているとし、「製品はまず特別な検査施設で検査する。その後、第三者機関や病院で再び検査する仕組みである」と述べた。

一致団結

 人工呼吸器は1000以上の部品で構成される。これらの部品の中には、海外から提供される部品もあり、関係者全員が協力しないと、人工呼吸器は製造できない。

 北京にある会社で働いている李さんは「われわれが使う部品のうち、電磁弁を含むいくつかの部品は海外から輸入している。部品の提供元も昼夜問わず製造しているが、世界的に流行している新型肺炎によって製造の不確実性が高まっている」と話した。

 人工呼吸器の部品製造業者は新華社記者に対し、電磁弁は極めて高い精度が要求される電子部品であり、国内企業の通常の生産能力は年間数千台であるが、今年1月から短期間で需要が8万台にも急増したという。

 世界中で需要が切迫している人工呼吸器の提供を早めるため、中国政府も協力している。地方政府は、重要な部品に対する通関手続きを優先し、同時に提供元の仕事再開を促進、さらには医療機器提供会社に財政援助を提供している。

 一例として、北京市食品薬品監督管理局は先月19日から医療機器の輸出認証にかかる時間を7日間から1日に短縮している。(c)Xinhua News/AFPBB News