【4月6日 AFP】艦内で新型コロナウイルスの感染が広がった米海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト(USS Theodore Roosevelt)」で、支援要請後に艦長を解任されたブレット・クロージャー(Brett Crozier)大佐が、同ウイルス検査で陽性になったことが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が5日報じた。

 クロージャー大佐は今月2日に空母を離れたが、同紙は海軍兵学校(US Naval Academy)時代の同期生2人の話として、大佐は空母を離れる前から症状が出ていたと報じた。

 マーク・エスパー(Mark Esper)米国防長官は米CNNに対し、これまでに空母の乗組員4800人のうち半数以上が新型コロナウイルスの検査を受け、155人が陽性だったが入院の必要はないと述べた。

 またエスパー氏は米ABCテレビに対し、爆撃機や原子力潜水艦の中は狭く「ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)」を守ることが不可能だという軍の特殊な事情を説明した。

■米国防長官、解任の判断を擁護

 クロージャー大佐は、空母がグアム(Guam)に到着した際、乗組員のほぼ全員を下船させて隔離するよう国防総省上層部に書簡で要請。その書簡を広範囲に送付したことで上層部の元に届く前に内容がメディアに漏えいした責任を問われ、艦長を解任された。これに対し、解任は乗組員の健康に配慮した立派な艦長に対する無神経で不公平な罰だとして激しい非難の声が上がった。

 ニューヨーク・タイムズがクロージャー大佐がコロナ陽性だったと報じる数時間前、エスパー氏はクロージャー大佐の解任を擁護する姿勢を示していた。

 エスパー氏はABCテレビに対し、クロージャー大佐の艦長解任という「厳しい決断」を下したのはトーマス・モドリー(Thomas Modly)米海軍長官代行だったと明らかにした。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がクロージャー大佐の解任を望んでいたと報じられている件について尋ねられたエスパー氏は、「海軍長官の要請だった。彼が私のところへ来て説明した。私は彼に、その判断を支持すると言った」と語った。(c)AFP