【4月6日 AFP】 英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II、93)は5日、テレビ放送された異例のメッセージで、新型コロナウイルスの流行に最前線で立ち向かう医療従事者たちに謝意を表した。

 女王は英国とその旧植民地である英連邦(Commonwealth)加盟国で放送されたメッセージの中で、第2次世界大戦(World War II)での自身の体験を引き合いに出し、家族や友人たちと離れ離れにならざるを得ない人々に希望のメッセージを送った。

 さらに、この状況が長引く可能性があると警鐘を鳴らした上で、科学的な協力といった「共通の努力」における集団的な取り組みを通じ、コロナの流行に打ち勝つことができると述べた。

 女王はまた、英国民保健サービス(NHS)の最前線で働く医療従事者など鍵となる労働者らに対して個人的に謝意を表するとともに、NHSの負担を軽減させ、感染症にかかるリスクが最も高い高齢者や脆弱(ぜいじゃく)な人々を守るため、家にとどまることを余儀なくされたすべての人に敬意を表した。

 この番組では、医師や看護師、配送業の労働者、ロンドンで4000床を備えた野外病院建設を支援する兵士たちや、最前線で働く人たちに自宅から拍手を送る国民の映像も流された。

 危機に際してエリザベス女王がこのようなメッセージを出したのは、即位してからの68年間でたった4度目。メッセージは、ロンドン西郊のウィンザー城(Windsor Castle)で、感染予防のため防護服を着たカメラマン1人が収録した。

 エリザベス女王と夫のフィリップ殿下(Prince Philip, Duke of Edinburgh、98)は、英国で新型コロナウイルスの感染者や死者が増えたことを受け、予防のために3月19日からウィンザー城に滞在している。

 同国ではこれまでに、4万7806人の感染者が確認され、4934人が死亡。女王の息子で王位継承者のチャールズ皇太子(Prince Charles)や、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相も感染している。(c)AFP