【4月10日 People’s Daily】「漢方薬が全面的に入り込み、治療に深くかかわったのが、今回の新型コロナウイルス感染症対策の特徴だ」-中国の中央指導グループのメンバーで、国家中医薬(漢方薬)局党組織の書記、余艶紅(Yu Yanhong)氏らは3月23日、国務院新聞弁公室が武漢(Wuhan)で開いた記者会見で、このように語った。

 余氏によると、全国から4900人余りの漢方医が湖北省(Hubei)に応援に駆けつけた。これは、応援に来た医療従事者全体の13%にあたる。治療状況を見ると、軽症、あるいは回復期の治療では漢方薬は早めに使われ、重症、重篤の場合は漢方医学と西洋医学の両方を使って効果的に病状の進展を緩和した。

 データによれば、新型コロナの患者のうち7万4187人に漢方薬を使用した。全体の91.5%にあたる。臨床観察の結果、漢方薬の有効率は90%以上に達した。余氏は「この結果、漢方薬により症状が効果的に緩和されることが示された。漢方薬が軽症や一般的な症状の患者が重症化するのを減らし、治癒率を高め、死亡率を下げることも分かった」と述べた。

「漢方薬は早期と回復期にかなり効果がある」ー中国工程院院士である天津中医薬大学の張礼以(Zhang Liyi)校長は武漢市内のある仮設病院を例にとり、漢方薬を主とした西洋医学との総合治療を進めた結果、564人の患者は1人も重症化しなかったと述べた。他の仮設病院でもこの方法を採用すると、重症化率は2~5%と著しく低下したという。

 一部の漢方薬は国際的に公認されたランダム化比較試験(RCT)で評価されている。東南大学付属中大医院の邱海波(Qiu Haibo)副院長によれば、RCTの結果、漢方薬の金花清感顆粒はインフルエンザ患者の発熱時間を短縮し、チーリー強心膠嚢(カプセル)は心臓の機能を改善することが分かっている。

 現在、湖北、武漢の病院では新型コロナの患者が減少してきており、重篤患者の治療が死亡率を低下させるポイントになっている。漢方医学と西洋医学の両方を使った治療法によって死亡率を下げる経験も蓄積されてきた。

 余氏によると、中国は現在、治療経験を外国と共有したり、漢方の製品を寄贈したり、漢方医を派遣するなどして防疫面の国際協力を進めている。(c)People's Daily/AFPBB News