【4月4日 AFP】ドイツ・ブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)は3日、新型コロナウイルスがパンデミック(世界的な大流行)となっている間、患者の治療を支援するために、同国最大級のサッカースタジアムである本拠地ジグナル・イドゥナ・パルク(Signal Iduna Park)の一部を医療センターとして活用すると発表した。

 ドルトムントのハンス・ヨアヒム・ヴェツケ(Hans-Joachim Watzke)最高経営責任者(CEO)とマーケティング責任者を務めるカルステン・クラマー(Carsten Cramer)氏は、「われわれのスタジアムはこの街の象徴であり、その技術とインフラおよび広さは、感染が疑われている人々を助けるのに理想的な場所となり得る」「これによって他の患者や開業医とそのスタッフの感染を防ぎ、感染の連鎖も断ち切ることができる」と述べた。

 地元医療機関との連携で医療センターが設置されるのは、8万1000席を誇るスタジアムの名物「黄色い壁」の向かい側にある北スタンドになるという。この施設ではウイルス検査や処方箋の発行、さらには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された患者の初期治療も可能となっている。また、受け入れるのは症状が出ている患者のみで、診療時間は毎日正午から午後4時までとなっている。

 ドルトムント(Dortmund)の地元保健機関であるヴェストファーレン・リッペ保険医協会(KVWL)の責任者は、「発熱や呼吸困難が出たとき、まずサッカースタジアムに行くとは確かに奇妙ではあるが、ここには最適な環境がそろっている」とコメント。また、このスタジアムの存在が、同市北部にある新型コロナウイルス専門治療センターの負担を和らげるとも付け加えた。

 新型コロナウイルス対策として主要スタジアムが使用されるのは、欧州ではジグナル・イドゥナ・パルクが2例目となった。スペインでは同国1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)が、同じく8万1000席を誇る本拠地サンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)を医療物資の保管場所として提供している。(c)AFP