【4月3日 AFP】米国防総省は2日、艦内で新型コロナウイルスの流行が起きた米原子力空母「セオドア・ルーズベルト(USS Theodore Roosevelt)」のブレット・クロージャー(Brett Crozier)艦長を解任した。艦内での感染拡大の経緯に関する情報の取り扱いが不適切だったためとしている。

 トーマス・モドリー(Thomas Modly)米海軍長官代行は、クロージャー艦長が5000人近い乗組員を抱える同艦で発生した感染の脅威について、4ページにわたる感情的な書簡を広範囲に送付した結果、国防総省上層部の元に届く前に内容がメディアに漏えいしたと非難した。

 モドリー代行は、これまで乗組員114人に感染が確認されたが重症例はなく、迅速な対応を講じなければ乗組員たちが死ぬと訴えたクロージャー艦長の書簡は深刻さを誇張したものだったと批判。同艦長は「危機のさなかに非常に稚拙な判断を示し」「艦内で起きている事実を正確に伝えなかった」ために不要な「パニック状態」を生んだと述べた。

 ただしモドリー氏は、「クロージャー艦長が乗組員たちの安全と健康にとって最善だと考えたことを実行したという点は、疑っていない」とも指摘。「不運にも、それは逆の効果を生じた」と言い添えた。

 その上で、この一件は乗組員の家族らを恐怖に陥れただけでなく、「艦の作戦能力と作戦上の安全性に関する懸念をもたらし、それによってわが国の敵につけ入る隙を与えかねないものだった」と語った。(c)AFP