【4月4日 Xinhua News】中国・遼寧省(Liaoning)瀋陽市(Shenyang)の火鍋店「老竈堂」は、新型コロナウイルスの感染拡大による休業から営業を再開したものの、ここ数日の客足は通常の4~5割程度で、売上高も家賃や従業員の給料などをカバーできない状態だという。ただ、創業者の霍春雷さんは「営業してこそ希望がある」と語る。

 中国の飲食業界は、今年初めからの新型コロナウイルスの流行で特に長い「厳冬期」を経験した。営業自体は国内の感染状況の好転を受け、各地で再開されているが、店内飲食についてはさまざまな制限が伴い苦戦が続く。

 福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)に本拠を置き、全国各地にイタリアレストランを展開する薩貝爾餐飲管理の創業者、林倫恒さんは「店舗は続々と営業再開しているが、入居するショッピングモールの客足が少ない。店内飲食は人数規制の影響を受け、売上高も例年に比べ7割減少した」と近況を語る。

 新型コロナが世界的流行へと変わったことで、中国は現在、感染輸入の防止に感染対策の重点を置いている。外国からの流入症例は30日午前0時時点で累計723人となっており、市民が外食に二の足を踏む要因にもなっている。

 多くの飲食業者が、困難打開に向けて努力をしている。「美団点評(Meituan Dianping)」や「餓了麼(Ele.me、ウーラマ)」などネット出前大手と提携しフードデリバリーを展開する一方で、販路開拓にも取り組んでいる。

 瀋陽市で人気の高い軽食店「石磊麻辣拌」の経営者は「店内飲食を再開した後、真空パックの半製品を開発し、周辺の青果店やスーパーマーケットに置いてもらっている」と説明。同店は春節(旧正月、Lunar New Year)前に30万元(1元=約15円)をかけて店舗を改装したため、資金回収の必要性に切迫感を覚えており、新たなマーケティングモデルの開発に余念がない。

 企業の自助努力に頼るだけでなく、政府も支援策を強化している。各地方政府が減税や費用引き下げ、賃貸料や水道・電気料金免除などの政策を打ち出したほか、遼寧、山東(Shandong)、江蘇(Jiangsu)、浙江(Zhejiang)各省では、数千万~数億元規模のクーポン券を支給。広東省(Guangdong)仏山市(Foshan)禅城区は期日通りに営業を再開した一定限度額(本業の年間売上高200万元)以上の飲食企業を対象に1社当たり10万元の補助金を支給した。河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)は上限を9万元とした雇用補助金、上海市は1人当たり800元の雇用安定化補助金を支給している。

 河南省ホテル・飲食業協会の陳恒会長は、各地の飲食業の営業規制が撤廃されれば「リベンジ消費」とまではいかないまでもV字回復は可能との見方を示し、「感染状況が引き続き良い方向に向き、消費を促す各種政策が相次ぎ打ち出されれば、消費の回復と潜在力の発揮がもたらされる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News