【4月3日 AFP】米政府の新型コロナウイルス対策チームの顔として広く信頼され、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の見解にはっきりと反対を表明したことで注目を集めたアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長(79)に脅迫が相次ぎ、身辺警護が強化されたことが分かった。米連邦保安官局(USMS)が2日、明らかにした。

 ファウチ氏は米国を代表する感染症の専門家で、トランプ大統領が毎日行う新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の定例記者会見には必ず同席。既に5000人以上の米国人の命を奪ったパンデミック(世界的な大流行)について、ありのまま事実に基づいた情報を提供して高い評価を得ている。

 しかし、トランプ氏が主張した新型ウイルスに関する疑わしい解釈と危機の見通しを否定したことで、ファウチ氏は保守派から攻撃を受けるようになった。

 ファウチ氏は、今月14日までに外出制限を緩和するとしたトランプ氏の当初案に明確に反対を表明。抗マラリア薬のクロロキンとヒドロキシクロロキンをめぐっても、信頼できる新型コロナ治療薬だとする大統領の高評価を修正した。

 トランプ氏の支持者らはインターネット上で、ファウチ氏は大統領を妨害する「ディープ・ステート(影の国家)」の諜報員だと非難し、激しく攻撃している。

 ファウチ氏自身は2日、身の安全に関する米CBSテレビの質問を一蹴。「全くばかげている。われわれはこの問題に注意を払わないよう努め、自身の責任と仕事に集中するだけだ。それが何よりも重要だ」と述べた。(c)AFP