【4月3日 AFP】新型コロナウイルス危機の中、フランスの一部の政治家が、同国が発注していた中国製マスクを米国人らに横取りされたと主張している。これに対し米政府高官は2日、「全くのうそ」だと否定した。

 パリを含み、最も人口の多いイルドフランス(Ile-de-France)地域圏のバレリー・ペクレス(Valerie Pecresse)知事は、フランスの買い手に売約済みだった品を、土壇場になって身元不明の米国人らが金にものを言わせて横取りしたと非難。「手配しておいた物資を、われわれより高値をつけた米国人に奪われた」と述べた。

 ペクレス氏は新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)対策に欠かせないマスクなどの品の支払いについて、フランスは着払いにしているが、米国人らは現金で先払いしたと主張した。

 ペクレス氏はニュース専門局LCIに対し、米国人らは「全世界が苦難に見舞われている裏で、商売をしようとしている」と語った。

 フランス北東部グランテスト(Grand Est)地域圏のジョン・ロットナー(Jean Rottner)知事も1日、同様の主張をしたが、情報源も、関与したとみられる人物の身元も明らかにしなかった。

 ロットナー氏は民放ラジオ局のラジオ・テレビ・ルクセンブルク(RTL)に対し、「(空港の)滑走路で米国人が現金を取り出し、われわれが注文していた品物に対して3~4倍の金額を支払った」と語った。

 こうした批判に対し、匿名を条件にAFPの取材に応じた米政府高官は「米国政府は、中国からフランスに配送される予定のマスクを一切購入していない」と述べ、フランス側の主張は「全くのうそ」だとした。

 一方、カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は2日、マスクが自国から他国に流出しているという同様の報告について、「憂慮すべき」とした上で、当局に調査を求めた。(c)AFP