【4月2日 AFP】ロシアの国連(UN)代表部によると、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する米国に向けて医療機材などを運んでいたロシア軍機が1日、ニューヨークに到着した。新型コロナウイルスがパンデミック(世界的な大流行)となる中、ロシア政府は医療支援というソフトパワーを発揮している。

 ロシア国連代表部はツイッター(Twitter)に、感染流行の中心地となっているニューヨークにあるケネディ国際空港(John F. Kennedy International Airport)にロシアの大型輸送機「アントノフ124(Antonov-124)」が到着した様子を捉えた写真と動画を投稿。

 これに先立ちロシア国防省は、「医療用マスクと医療機材を積んだ」アントノフ124が米国に向けて出発したと発表しており、国防省が公開した動画には、同機が1日早朝に首都モスクワ近郊の空軍基地で離陸の準備を進める様子が捉えられていた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は3月30日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と電話会談を行っていた。

 今回の物資輸送について、ロシア国防省は詳細を明らかにしていない。これまでにロシアは、人道的支援として感染拡大が続くイタリアに医療機器を送ったり、専門家チームを派遣したりしており、アナリストらはこの動きについて、地政学的な意味合いもあると指摘する。

 また、3月には旧ソ連構成国のほか、イラン、北朝鮮といった国々に対し、ロシアは1000近くの新型コロナウイルス用検査キットを送っている。

 ロシア保健当局の1日時点の統計によると、同国内で報告されている感染者の数は2337人と急増しており、うち17人の死亡が確認されている。

 映像前半は米国に向けてロシアを出発したアントノフ124、ロシア国防省が1日撮影・提供。後半はロシア国連代表部がツイッターに投稿した、米ケネディ国際空港に到着した同機。(c)AFP