【4月3日 AFP】新型コロナウイルスが中国で最初に確認されてから3か月がたった。だが、世界中の医師や科学者の総力を挙げての調査・研究にもかかわらず、今回の流行についてはなお未解明の部分が多い。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルス「SARS-CoV-2」について、答えが出ていない重要な5つの疑問をまとめた。

■なぜ一部の人々だけ重症化するのか?

 世界保健機関(WHO)によると、このウイルスに感染した人の約80%は症状が軽いかほとんど無症状なのに対し、一部の人では死に至る可能性のある肺炎が起きる。これは大きな謎の一つだ。

 中国で流行がピークに達していた時、香港大学(Hong Kong University)のレオ・プーン(Leo Poon)教授と南昌大学(University of Nanchang)の研究チームは、この感染症の軽症患者と重症患者を比較した。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載されたこの論文によると、症状の深刻さは「高齢者が際立って」いて、鼻や喉でのウイルス量が軽症者に比べて約60倍も多かった。

 この研究結果について、加齢による免疫反応の低下によるものなのか、単により多くのウイルスにさらされたからなのか、疑問が残されている。

■空気中に浮遊するのか?

 新型コロナウイルスは、ウイルスへの物理的な接触(接触感染)と、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を通した感染(飛沫感染)によりうつるとされている。

 だがこのウイルスも、季節性インフルエンザウイルスのように空気中を浮遊するのだろうか。

 米医学誌ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)に発表された研究によると、新型コロナウイルスは実験室内でエアロゾル(気体中に浮遊する微小な粒子)として3時間生存可能であることが示されている。だが、この段階でもまだ感染力があるのかどうかは確かめられていない。

■感染者の総数は何人か?

 韓国やドイツのように積極的な検査を行っているわずかな国を除き、世界の新型コロナウイルス保有者の詳細な数は不明だ。

 英政府は同国での検査による陽性反応者数が2000人未満だった3月17日の時点で、5万5000人がこのウイルスを保有していたと推定している。

 感染症流行の規模を正確に把握することは、感染者の隔離・治療のためにも、またこのウイルスに対する免疫の獲得が可能な集団属性を把握する上でも不可欠だ。

■気候が暖かくなればウイルスは死ぬか?

 北半球が春や夏を迎えて気候が暖かくなれば、新型コロナウイルス感染症の流行は終息するのだろうか。専門家らは、その可能性はあるが確かではないと述べている。

 インフルエンザのような呼吸器系ウイルスがより安定するのは寒く乾燥した気候で、そのために冬に急速に拡大する。

 米ハーバード大学メディカルスクール(Harvard University Medical School)による最近の研究は「広範な公衆衛生的介入なくしては、気候の変化(北半球で春や夏を迎え気温と湿度が上昇する)だけで新型コロナウイルス感染症の減少に必ずしもつながることはないだろう」と警告している。

■なぜ子どもは重症化しにくいのか?

 子どもは大人と比べて新型コロナウイルス感染症にかかる例が少なく、またかかっても症状が軽い傾向がある。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された中国の研究論文によると、新型コロナウイルス感染症にかかった子ども10人を調査した結果、重症化した例はなく、症状は喉の痛み、せき、微熱に限られていた。

 また新型ウイルスに感染した大人と同居する子どもが感染する確率は、大人と比べて3分の1から2分の1だった。(c)AFP/Olivier THIBAULT