【4月2日 AFP】中南米で新型コロナウイルス感染が拡大する中、ブラジル当局は1日、アマゾン(Amazon)熱帯雨林に暮らす先住民族に初めて感染が確認されたと発表した。アマゾンの先住民族は外界から持ち込まれた病気に対して非常に脆弱(ぜいじゃく)なため、パンデミック(世界的な大流行)の影響に懸念が高まっている。

 ブラジル当局によると、先住民族コカマ(Kokama)の女性(20)に検査で陽性反応が出た。女性は対コロンビア国境に近いサントアントニオドイサ(Santo Antonio do Ica)の公共医療機関に勤務しているが、この医療機関では先週、休暇から戻った医師が陽性の診断を受けていた。

 現在のところ女性は無症状だという。保健省の先住民族担当部署によれば、女性は家族ともども隔離され経過観察中。

 中南米における感染者数は1日、AFPが行った集計で2万人を超え、5日間で約2倍に増加した。各国当局の発表に基づけば、域内では1日午後までに計537人が死亡している。

 域内最初の感染者が2月26日に確認されたブラジルが最も大きな影響を受けており、これまでに5700人以上が感染、うち201人が死亡した。人口約2億1000万人の同国では、ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領が誤情報を拡散しているとして批判の的となっている。

 ボルソナロ氏は、感染リスクを抑えるため他人と一定の距離を保つ措置「ソーシャル・ディスタンシング」について、経済を無用に損なうと主張して激しく非難。新型ウイルスを「ちょっとしたインフルエンザ」と称し、人々の対応を「ヒステリー」だと批判してきた。こうした発言は、国内のみならず国際社会で同氏の孤立を深めている。

 一方、国連(UN)ベネズエラ避難民担当特別代表のエドゥアルド・ステイン(Eduardo Stein)氏は、経済破綻したベネズエラから流出した難民・移民の状況がパンデミックにより悪化していると警告している。2015年以降にベネズエラから流出した500万人近い人々の多くは、コロンビアなど近隣の南米諸国に住み着き、現地の保健システムを圧迫している。(c)AFP