【4月2日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により外出制限が課されているオーストラリアで、猫や犬の助けを借りて自宅待機を乗り切りたいという理由から、保護猫や保護犬の需要が急増している。動物愛護団体が1日、明らかにした。

 王立動物虐待防止協会(RSPCA)ニューサウスウェールズ(New South Wales)州支部のスティーブ・コールマン(Steve Coleman)最高責任者はAFPに対し、同州では、里親募集への問い合わせが300%増加したと語った。

 大勢が一時預かりで保護猫や保護犬を引き受けているが、コールマン氏によると一時預かりも大歓迎で、そのまま里子として引き取られることも多いという。コールマン氏は、「私たちはこれを『養育の失敗』と呼んでいる。多くの人は一生懸命養育するので、愛着が湧いて返せなくなってしまう」と説明した。

 シドニーにあるRSPCAの保護施設は普段なら動物であふれているが、AFPが今週訪問した時には、ほとんどのケージが空になっていた。

 目の見えない猫、ピッパを里子として引き取ったラクラン・ボーンテイラー(Lachlan Vaughan-Taylor)さんは、自宅待機中の仲間が増えたことで、自身とパートナーはよろこんでいると語った。

 ボーンテイラーさんは、「きっと他の多くの人々は完全に孤独だろうけど、ここには保護を必要としている動物がたくさんいる」「だから仲間が欲しい気分になった人は、里親募集を通じて新たな親友に出会えるかもしれない」と語った。

 コールマン氏によると、集会が制限されているため、里親希望者がRSPCAの保護施設に行くには事前予約が必要だが、それでも根強い需要があるという。ニューサウスウェールズ州には、RSPCAの保護施設が9か所ある。

 オーストラリアでは、これまでに新型ウイルスの感染者4800人超、死者21人が確認されており、感染拡大を防ぐため、政府は国民に自宅待機を要請している。(c)AFP