ブレーキ・パッドの磨耗警告が点灯した79号車。限界まで減っていたローターも合わせて交換することに。

実を言うと、ブレーキについては79号車を中古車として購入した時から、かなり磨耗が進んでいるな、とは思っていた。ポルシェ911といえば、ドンッと押し出すようなトラクション性能と並んで、グググッと車体全体を沈み込ませるようにして止まるブレーキ性能の高さこそが、他車の追随を許さない圧倒的なアピール・ポイントのひとつになっているはずなのに、79号車のそれはどこか効きが甘かったのだ。最初にすべてを点検してもらった時に、ブレーキ・ホースとブレーキ・オイルを交換して、若干良くなりはしたものの、それでも制動の初期にスッと前に進んでしまう感じや、抜いていった時の微妙なコントロールが効かないもどかしさは残っていた。

その後、サーキットをかなり走ったこともあって、症状はますます悪化していたが、とはいえ、それはあくまでサーキットでスポーツ走行する際に求められる微妙な領域でのコントロール性が悪いということであって、一般道を普通に走っている分には、十分以上の制動力を発揮していたから、ここまで手を入れることなしに走り続けてきたのだ。

タイヤ交換に続いて、ブレーキ交換もポルシェ・センター調布で行なった。

しかし、磨耗限界を知らせる警告灯がついたからには即刻換えなければならない。今回は、昨年10月のタイヤ交換の際に、そろそろフロントのブレーキ・ディスクとパッドを交換した方がいいとアドバイスされていた流れから、再びポルシェ・センター調布に入庫して交換作業をしてもらうことにした。

良く観察していただくとお分かりのように、フロント・ブレーキのディスクは、10万㎞を超える走行の結果、みごとに磨耗して落ち窪んだ状態になっていた。

使用前、使用後のディスクを並べてみても、いかに限界まで使い込んだかは一目瞭然。

限界といえば、さらにギリギリまで使い込んだ状態になっていたのがパッドで、使用前、使用後を並べると、いかに磨耗が進んでいたかが見て取れる。新品では約13㎜あるはずのものが、わずか1㎜ほどになり、周囲は崩れかかった状態になっていたのだ。

で、ブレーキを外してみてビックリ。なんとパッドの残量は1㎜まで減っており、まさにギリギリの状態まで来ていたのだ。新品は13㎜くらいあるというのだが、よくぞここまで使い切ったものだと、メカニック氏に感心されてしまった。

それはディスクの方も同様で、新品状態では厚く盛り上がっているパッドとの接触面が、みごとに磨耗して完全に落ち窪んだ状態になっていた。新車から10万3821㎞もの距離を走り続けてきたのだから当然と言えば当然だが、それにしてもよくぞ無事に走り続けてきたものだ。本当にお疲れさま、と労をねぎらいたい気持ちになった。

すべての交換作業を終え、キャリパーも掃除してもらって、まるで新車のようにキレイになったフロント・ブレーキ。最高です。

さて、気になる費用がどのくらいかかったかを報告しておこう。フロントのブレーキ・ディスクは1枚4万150円。それが2枚で8万300円。パッドは4枚セットで4万3890円。そして、交換工賃が1万8480円。そのほか交換に必要な様々なパーツ類を加えて、しめて17万4636円也。

これが決して高いものではないことは、交換後、走り始めてすぐに合点がいった。まだ慣らしの段階からすでに交換前とはまるで見違えるように効きが良くなっていたのだ。さらに慣らしも終えた今では、微妙な領域でのコントロール性も抜群に向上して、本当に気持ちのいいポルシェ911本来のブレーキが復活した感じだ。まだ、サーキットを走る機会は得ていないが、恐らく素晴らしい性能を発揮してくれるに違いない。

もっとも、今回メカニック氏に新たに指摘された問題点がひとつある。なんとリア・ブレーキも限界に近づいているというのだ。ふうぅ~。

79号車/ポルシェ911カレラ4S(996型)
PORSCHE 911 CARRERA 4S
購入価格(新車時):340万円(1244万2500円)
導入時期:2017年4月
走行距離(購入後):10万4146㎞(2万1761㎞)

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=望月浩彦

(ENGINE 2020年3月号)